【ソウル聯合ニュース】韓国の北朝鮮脱出住民(脱北者)が北朝鮮の体制を批判するビラの散布を韓国当局に制止され精神的な苦痛を受けたとして、国を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、大法院(最高裁)は28日、原告敗訴の判決を確定したと明らかにした。政府の制止は北朝鮮の砲撃などから国民を保護するための措置で正当だとする二審の判決を支持した。 男性は1991年に北朝鮮を脱出し、宣教師として活動。北朝鮮へビラを飛ばすための大型風船を2005年に発明し、ビラの散布を始めた。2009年から2013年までに飛ばした大型風船は計5708に上る。風船は一つ当たり数万枚のビラを運べる。 韓国政府は2007年から、男性が民間人居住地域からビラを飛ばそうとするのを軍と警察を動員して制止してきた。北朝鮮が散布に反発し、挑発する危険があったためだ。実際に北朝鮮は2014年10月10日に男性が韓国北部の京畿道漣川郡から飛ばした大型風船に向けて高射機関銃を発射し、韓国も応射している。 男性はビラ散布を表現の自由だとして訴訟を起こした。 一審は、ビラ散布の制止を「大型風船を飛ばす地域、また風船が通りすぎる地域に住む国民の生命と身体に明白かつ現存する危険の発生を防止するためのもの」と判断した。男性はビニール製の風船を夜間に飛ばすため北朝鮮に探知されないと主張したが、二審は「風船の数と大きさ、回数を考慮すると北の軍に発見される可能性が高い。ビラ散布の行為と北の挑発行為の間には因果関係があるとみられる」として男性の主張を退けた。 一方、北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件から6年となる今月26日、韓国の脱北者団体は保守団体と共に、南北軍事境界線に接する非武装地帯(DMZ)近くから北朝鮮に向けてビラを散布した。 mgk1202@yna.co.kr
Copyright 2016(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0