【ソウル聯合ニュース】北朝鮮による4回目核実験や事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、韓国が北朝鮮と共同運営してきた開城工業団地の操業を中断して1カ月になろうとしている。 韓国政府が先月10日に同団地の操業中断を発表すると北朝鮮が反発。翌日、同団地の閉鎖や韓国側関係者全員の追放などを発表した。これに対し韓国政府は団地への電力供給を停止した。 同団地の操業中断という韓国政府の強硬対応は対北朝鮮制裁に消極的な姿勢を見せていた中国やロシアといった国連安全保障理事会常任理事国の態度に変化を与え、国連安保理がこれまでにない厳しい内容の新たな制裁決議の採択を後押ししたと評価されている。また操業中断の決定は米国や日本、欧州連合(EU)などが独自の対北朝鮮制裁を実施することにも影響を与えたとされる。  一方で、過去に北朝鮮が核実験を行った際も、2010年に北朝鮮が韓国海軍哨戒艦「天安」を撃沈した際も操業を続けていた同団地が操業を停止したことにより、南北の交流と協力が完全に途切れた。 南北は昨年8月25日、4日間の交渉の末に関係改善で合意したことで交流と協力を再開し、同10月には開城工業団地を除く北朝鮮訪問人数は約880人となり、人的交流も活発になった。昨年、開城工業団地と離散家族再会行事を除いた訪朝人数は2035人(104件)で、前年比3.7倍となった。 しかし韓国政府は北朝鮮が1月6日に4回目の核実験を強行すると、開城工業団地を除く南北交流を一時中断し、団地内に韓国側常駐員を最低限だけ置く措置を取った。さらに北朝鮮が先月7日に事実上の長距離弾道ミサイルを発射すると、韓国政府は団地の操業中断という最後の手段を実行した。 これにより南北交流だけでなく、連絡手段も完全に閉ざされた。北朝鮮は韓国政府の措置に反発し、軍の通信線と、南北軍事境界線のある板門店の直通電話を閉鎖すると表明した。 韓国の民間シンクタンク、世宗研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は聯合ニュースの取材に対し、「南北に政治的、軍事的摩擦があっても、経済的には実用主義の立場で相互に協力してきた開城工業団地が閉鎖され、少なくとも朴槿恵(パク・クネ)大統領の任期が終わるまでは、北の核問題が解決されないかぎり南北間のあらゆる協力が事実上不可能になった」との見方を示した。 また「開城工業団地の閉鎖とともに南北の民間交流もほとんど全面断絶の状態になり、南北関係は盧泰愚(ノ・テウ)政権がスタートする以前の交流のない対決状態に戻ることになった」と話した。  開城工業団地の操業中断により、韓国側が北朝鮮の政策に影響を与える足がかりを失ったとの指摘も出ている。 東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は団地操業中断の決定について、「北に圧力をかける手段のうち最も痛みを与えられる手段だが、南北の連絡手段が完全に途切れ、北に対するテコの役割を失うという結果をもたらした」と話した。  鄭室長は「このような状況で、もし朝鮮半島の非核化と平和体制構築の問題を議論するための6カ国協議や韓米中朝の4カ国協議が開催されれば、南北間の不信のため、北が韓国との対話を避け、韓国の交渉力がさらに弱まる可能性が高くなった」と懸念した。
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