ソン・ワンジョン前京南企業会長から現金を受け取った疑惑があるとして起訴された李完九(イ・ワング)前首相(65)に対し、韓国検察は懲役1年を求刑した。(提供:news1)
ソン・ワンジョン前京南企業会長から現金を受け取った疑惑があるとして起訴された李完九(イ・ワング)前首相(65)に対し、韓国検察は懲役1年を求刑した。(提供:news1)
ソン・ワンジョン前京南企業会長から現金を受け取った疑惑があるとして起訴された李完九(イ・ワング)前首相(65)に対し、韓国検察は懲役1年を求刑した。

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 李前首相は最終陳述で検事総長の言葉を引用しながら悔しい思いを訴えた。

 ソウル中央地裁で5日に開かれた結審公判で検察側は「選挙事務所で違法選挙資金を受け取り、政治資金の透明性を高めるという立法趣旨を毀損したのに犯行を全面否認している」とし、李前首相に対して懲役1年を求刑した。

 検察側はさらに「故ソン・ワンジョン前京南企業会長の側近の陳述と、客観的証拠が一致する」とし、ソン前会長が李前首相の選挙事務所を訪れ、李前首相に3000万ウォン(=約300万円)を渡したことは事実だと主張した。

 また「ソン前会長は選挙事務所にあるプヨに到着した後すぐに選挙事務所の中に入らず、誰かが出てくるのを待っていた」とし、「このような状況はソン前会長が李前首相と二人きりになる場を作って選挙資金3000万ウォンを渡して起きたことだ」と指摘した。

 一方、李前首相側の弁護人は「客観的な立証がまったくなされていない状態で検察が誰かを必ず起訴しなければならないという圧迫感によって無理に起訴されたものだ」と無罪を主張した。

 李前首相はこの日、最終陳述で「一時は国の重責を担った者。現役議員として国民の皆さんに迷惑をかけた点を申し訳なく思う。今も自省と自重の時間の連続だ」と明らかにした。

 また「海外支援開発に天文学的な額が投資され、ややもすると国家的損失になりかねないことを憂慮し、講じる策をまとめるべきだと言ったことはある」とし、「ソン前会長が最後に残した『首相が事を主導した』という言葉を見れば、ソン会長は私の原則的立場の表明に残念な思いがあり、誤解と失望が大きかったようだ」と述べた。

 続けて「いくら些細なことでもこれは常に宇宙より重い人間の問題であることを考慮して被告人の悔しさを訴え、真実の叫びにも耳を傾けろというある検察総帥の言葉を吟味することになる」とし、「真実に勝つものはない。裁判部の賢明な判断で事件の真実が明らかになることを信じている」と訴えた。

 またこの日の公判前におこなわれた証人尋問に出廷した日刊紙の記者イ氏は「当時、遺言として聞いたわけではない。故ソン・ワンジョン前会長が命を絶ってから、そういった意味で話したのかもしれないと感じた」と残念な気持ちを表した。

 イ記者は故ソン前会長の死亡前に最後のインタビューをしていた。

 イ記者に対する証人尋問を終えた後、李前首相側はソン前会長が最後のインタビューといわゆる“ソン・ワンジョン リスト”が書かれたメモを証拠として採択することに同意した。しかしこの証拠物の証明力は相変わらずないとして有罪の証拠に使わないでほしいと訴えていた。

 現行の刑事訴訟法は証人が死亡し、法廷で陳述できない場合、「特別に信頼しうる状態」で作成された時のみ、その証人が残した書類、録取などの証拠能力があると規定している。

 李前首相側は「罪を犯した人に罰を与えるためには、罪を犯したと主張する人を呼んで問いただすことができる機会を与えろというのが、刑事訴訟法上の基本原則だ」とし、「ソン前会長死亡の動機は『これを言って死ぬからお前たちは一度処罰されてみろ』というものであり、この証拠に対して証明力が認められるなら、嘘をついて自殺する人が多くなるだろう」と主張した。

 続けて「検察自らも録取やメモに登場する人のうち、2人だけを起訴した」とし、「録取、メモの証拠能力がないか、証明力が十分でないと判断したのだと思う」と指摘した。

 しかし検察側は「ソン前会長の陳述は捜査機関においての陳述ではなく、捜査機関の圧力がかかる余地がまったくない点において『特別に信頼しうる状態』が認められる」として十分に信頼できる証拠だと主張した。

 また「ソン前会長の陳述は、遺言の性格をもつ」とし、「遺言を残す人がわざわざ嘘をつくことはほとんどない」と強調した。

 裁判部は両者の主張を検討した後、録取やメモを証拠として採択しながらも証明力の問題は後の判決で明らかにすると述べた。裁判部は「ソン前会長がインタビューを受けるに至った経緯や状況を見ると、信ぴょう性が保障されていないと断定するには難しい側面がある」と説明した。

 李前首相に対する判決の言い渡しは今月29日午後2時におこなわれる。

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