大宇造船海洋が先月開催した討論会の様子(同社提供)=(聯合ニュース)
大宇造船海洋が先月開催した討論会の様子(同社提供)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の造船業界と海運業界は今年、かつてないほど苦しい一年を過ごした。 世界的な不況で船舶受注が減った上、海洋プラントの工程遅延で巨額の赤字を計上した造船業界は、資産の一部を売却し、厳しいリストラを断行するなどして、何とか生き残ろうとあがいている。 長期不況の沼から抜け出せずにいる海運業界は、さらに厳しい状況に置かれている。営業赤字が雪だるま式に膨らんでいるものの、活路を見いだすのは容易ではない。業界1位、2位の韓進海運と現代商船の合併までささやかれている状況だ。 造船をはじめ自動車、鉄鋼、石油化学などの輸出主力産業が一斉に不振に陥り、韓国の貿易状況も急激に悪化した。原油安などで輸入も減少し、今年は2011年以降で初めて貿易額が1兆ドル(約122兆円)を下回る見通しだ。◇造船「ビッグ3」、資産整理やリストラで再建模索 先月16日、造船大手、大宇造船海洋の玉浦造船所(慶尚南道巨済市)は数時間ほど操業を完全に停止した。創業以来、初めてのことだった。従業員約1万3000人と協力会社従業員ら計5万人余りが作業を止め、経営再建に向けた討論会を開いたのだ。 年初から9月末までに4兆3000億ウォン(約4440億円)台に上る巨額の赤字を計上した大宇造船海洋は現在、不動産など一部の資産売却やリストラなどを盛り込んだ再建計画を実施中だ。最近では14人乗りヘリコプターも売却するなど、売れるものは全て売っている。 リストラも果敢に行っている。8月以降、早期退職などにより部長クラス以上の社員を1300人から1000人に減らし、本社役員も3割削減した。 大宇造船海洋ほどではないにしても、同社と並び造船「ビッグ3」に挙げられる現代重工業とサムスン重工業も多額の赤字に苦しみ、経営建て直しに励んでいる。 現代重工業グループは先ごろ、全系列会社での緊縮経営を宣言。人件費や経費の削減、設備投資縮小などを通じ、5000億ウォン以上を節減する計画だ。サムスン重工業もリストラや不要な資産の売却を進めている。 世界的な不況で船舶の発注量が減少しており、来年の造船業界の見通しは暗い。造船・海運市況を分析する英クラークソンによると、11月の世界の船舶発注量は71隻、182万CGT(標準貨物船換算トン数)にとどまった。中国勢に押され、韓国の受注実績はわずか3隻、7万9834CGTと、約6年ぶりの低水準となった。 発注の減少に海洋プラントの工程遅延も重なり多額の損失を抱える3社は、収益性を最優先にする経営で来年には黒字転換を果たすとの目標を掲げている。エコで高効率なエコシップ、造船にIT技術を組み合わせたスマートシップの開発を加速するほか、海洋プラント部門では資機材の国産化や資材・設計などの国際標準化を実現し、収益を確保する計画だ。◇不況の沼から抜け出せない海運業界 海運業界はここ数年、不況を脱することができずにいる。最大手の韓進海運は9月末現在の負債総額が連結ベースで7兆2000億ウォンに達した。海運業界は船舶購入費を負債として計上するため、ほかの業種よりも負債比率が高いとはいえ、多少の利益では利子の返済さえ難しい状況だ。 このため、同社は韓進グループ系列会社の株を全て売却したほか、グループ中核企業の大韓航空から緊急資金支援を受けた。 韓進海運は13年末には連結ベースで1463%に達していた負債比率を、今年9月末には687%まで引き下げ、7~9月期に107億ウォンの営業利益を計上するなど、ひとまず緊急事態を脱した。 経営に赤信号がともっているのは現代商船だ。同社は7~9月期に680億ウォンの営業赤字を出した。負債総額は連結ベースで6兆3000億ウォンに上る。11年以降、毎年2000億~5000億ウォン台の赤字を計上しており、現代グループは13年末にリストラや資産売却などの再建計画を発表して立て直しに全力を挙げてきた。 だが、今年10月、現代商船による現代証券の株式売却が不発に終わったことで韓進海運との合併説まで飛び出し、海洋水産部長官が「合併は考えたこともない」と火消しに乗り出す事態も起きた。 現代商船は「これまで耐えてきたので、今後も耐え抜くしかない」とし、永久債の発行などによる資金調達を模索している。海運業界からは、企業の再建努力を後押しする政府の支援を求める声も出ている。◇輸出不振が深刻、年間貿易額1兆ドル下回る 世界的な不況は韓国の輸出に急ブレーキをかけた。11年に世界で9番目に年間貿易額1兆ドルを達成し、成長を続けていた韓国の輸出は、今年に入り最悪の不振に陥った。輸出額は今年、11カ月連続で前年同月比マイナスを記録した。11月までの輸出額は4846億ドル(暫定値)で、前年同期に比べ7.4%減少した。輸入額も減少が続いており、今年は貿易額1兆ドルを達成できない見通しだ。 輸出の不振は、中国の成長鈍化など世界的な景気低迷と原油安が重なったためだ。韓国貿易協会は、来年も米国の利上げによる影響や新興国の成長鈍化などが不安材料としてあるものの、貿易環境が今年よりも改善し、輸出が増加に転じるものと期待を示している。 stomo@yna.co.kr
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