【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が25日で任期5年の折り返し点を迎える。 朴大統領は就任2年目に入るにあたり、朝鮮半島の統一に関する「テバク(大当たり)論」と経済改革3カ年計画を打ち出した。南北関係で突破口を開く一方、韓国経済を回復させ、成果を出そうという構想だった。 しかし、昨年4月16日に旅客船「セウォル号」沈没事故が起こり、11月には朴大統領の元側近による国政介入疑惑が政界を揺るがすなど、国政運営に大きな打撃を受けた。 就任3年目を迎えた今年、朴大統領は「国政のゴールデンタイム」を強調し国政運営に弾みをつけようとしたが、その矢先に企業が朴大統領の側近らに裏金を渡したという疑惑が持ち上がり、さらに中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大で再び危機に追い込まれた。 それでも朴大統領は4大(公共、労働、金融、教育)構造改革や経済活性化、若者の雇用創出を掛け声に、国の体質改善に向けた改革を一貫して進めようとした。公務員年金改革や全国18カ所への創造経済革新センター設置など、ある程度の基盤を固めることができたと評価されている。 任期後半は改革の各分野で具体的な成果を示すことが課題となる。3年目が終わる今年の年末までが勝負だ。 聯合ニュースは政治や外交、経済分野の専門家に取材し、朴政権のこれまでの国政運営に対する評価と今後の課題、提言などをまとめた。◇「国政課題の方向性は正しいが成果なし」 この2年半の国政運営に対し多数の専門家は、国政の方向性は良いが目に見える成果は表れていないと、やや厳しい点数をつけた。 朴大統領は国内外の悪材料にもかかわらず、4大構造改革や経済活性化という国政アジェンダを示し、不断の努力を続けた。それでも、朴政権の功労と呼べるような具体的な成果はまだない。大統領の権限が強い任期前半にこそ成果を上げる必要があったとも指摘される。 ただ、韓国経済の低成長が定着しつつある中で4大構造改革を提示し、北東アジア情勢が激変する時代に韓米・韓中関係を磐石にしたという点に注目した専門家らは、朴政権の国政運営を高評価した。◇改革の試み評価も、危機管理能力を問題視 専門家らは政治分野におおむね低い点数を与えた。朴大統領の改革の意志と真剣な姿勢を認めながらも、「(国会との)対決政治の構図に変化がなく、政治的なリーダーシップを発揮したとは見なし難い」(イ・ネヨン高麗大教授)とした。政界との意思疎通が足りないと指摘される。 また、セウォル号沈没事故やMERS感染拡大、北朝鮮が埋設した地雷の爆発事件など、危機状況に直面した際の管理能力も問題視された。こうした危機管理能力の低さについて、「国民の不信が募り、政府はものごとをきちんと進められなくなる」(申律=シン・ユル=明知大教授)との意見や、同じような出来事が再発しても試行錯誤を繰り返す懸念があり、政争など不必要なあつれきを生むとの意見が上がった。◇対米・対中に比べ対北・対日外交は低評価 朴政権の外交政策については、政治分野に比べると高い評価となった。  高評価の理由として、「韓米同盟、中国との戦略的パートナー関係を土台に対米、対中関係をそれぞれ発展させ、対外政策の安全弁にした」(尹徳敏=ユン・ドクミン=外交部国立外交院長)、「韓中関係を修復し、韓米関係もしっかり管理した。歴史問題に対する日本の反省と謝罪が必要という国際的な共通認識も形成した」(崔剛=チェ・ガン=峨山政策研究院副院長)などの意見がある。 専門家らはその一方で、南北関係と対日政策には苦言を呈した。対北と対日政策の原則にこだわった結果、現実に沿った調整をできず、結局求めるものを得られなかったと指摘した。◇経済構造改革 朴政権は経済分野で、4大構造改革と、起業と技術革新を強調する「創造経済」を掲げている。長期的な観点から政策の方向性を正しく定めたと、専門家らは評価する。これにより、対外的な状況が悪化する中でも景気のハードランディングを防ぐことができ、低成長となった韓国経済の潜在成長率を引き上げるための方向性が示されたとした。 一方、「(大企業偏重の経済構造を是正する)経済民主化と財閥改革の公約が失われ、不動産景気のてこ入れ、財政赤字の放置、家計(個人)負債の急増などの副作用が数多く生じた」(全聖寅=チョン・ソンイン=弘益大教授)という批判もある。ほかにも、家賃高騰などへの不動産対策や若者の雇用創出、企業の投資不振などに対処できなかったとの指摘が出た。 韓国社会の最大の問題である二極化に対する適切な処方と解決策を実践しきれなかったという指摘だ。◇4大改革や北朝鮮政策、今後の課題は 専門家らは朴大統領の残り任期の課題として、4大改革の完了、政界との意思疎通と協力的な政治、危機管理システムの確立などを提言した。 次期大統領選や国会議員総選挙などを控えると大統領の権力が弱まる状況が発生し得るだけに、与野党を問わず政策分野で協力を求め、考え方を対決から譲歩と妥協へ転換し、4大改革の成果を出す必要があるという。 また、セウォル号事故とMERS問題を反省材料に、危機管理能力を高めるよう促した。 南北関係については、見通しが不透明な中で北朝鮮が発端となる問題も予想されるため、韓国は十分な管理が求められるという。時間が限られているからと、南北関係を人為的に解決しようとしてはならないとの意見もあった。 mgk1202@yna.co.kr
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