「ふくかんねっと」理事長を務める鄭玄実さん=(聯合ニュース)
「ふくかんねっと」理事長を務める鄭玄実さん=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】福島県で市民団体を立ち上げ15年にわたり韓国との交流活動の先頭に立ってきた韓国出身の鄭玄実(チョン・ヒョンシル)さんが、「政治や外交で葛藤はあるが、純粋な民間交流が広がるほど両国関係は一層明るくなると確信する」と語った。文化交流の拡大こそ、両国が真の隣人になるための近道だと考えている。 鄭さんが理事長を務める福島の非営利活動法人(NPO法人)「ふくかんねっと」は、韓国の言語や文化、経済、歴史などについて理解を深め、両国の市民団体間の交流を推進する活動を行っている。韓日国交正常化50周年を記念した青少年相互交流の一環として、7月29日から10日間、韓国の青少年が東京や日光、福島などを訪問した。続いて9月18日から24日までは福島県の青少年がソウルと全羅北道・全州を訪れる予定で、鄭さんはその準備のため韓国に里帰りしている。 このほど鄭さんは聯合ニュースのインタビューに応じ、ふくかんねっとを設立し福島の人たちに韓国語やキムチなど韓国料理を教え続けてきたことについて、「互いをよく知ることが重要だと思った」と話した。30年余り日本で暮らす中で気付いたのは、ほとんどの差別が人種や民族的な憎悪というより、相手に対する無知から始まるということだった。 鄭さんは1984年に日本に留学した。早稲田大で日本の古代文学を専攻した後、大学院で韓日古代文学の比較で修士号を取った。横浜国立大と東京外国語大で韓国文化に関する講義を担い、外務省で韓国語通訳も務めた。日本人にきちんとした韓国語を教えようと、1997年に東京外国語大大学院で言語学として韓国語を専攻した。 福島との縁は、2000年に日本人の夫が福島大の教壇に立つようになったことがきっかけだ。鄭さんも専攻を生かし、福島大で韓国語と韓国文化について講義した。 一方、韓国語を教えてほしいという周りからの要望に応え、福島県の国際交流協会の事務室を借りて週1回の韓国語講座を始めた。すぐに受講生が増え、80人に上ると、講座も毎日行わなければならなくなった。鄭さんは仕事には関係のない一般社会人まで韓国語を習いに来ることに驚いた。その当時、ドラマを中心にした韓流ブームはまだ起きていない。 また、鄭さんがある日、手作りのキムチを受講生に分けたところ大好評で、キムチ作りを習いたいという要望が殺到した。韓国語もキムチ作りも教えるならせっかくだからと創設したのがふくかんねっとだ。ここで韓国語を習った人は1万人に達する。日本人の教え子が韓国語や韓国料理の講師となり、ほかの文化センター、中学・高校で活躍中だ。今もふくかんねっとのキムチ作り講座は毎年1000人が登録する人気ぶりで、韓国文化を体験する訪問ツアーも毎年実施している。 ふくかんねっとの活動が知られるようになり、東京の韓国文化院と連携した韓国語スピーチ大会やK-POPコンテストのほか、パンソリなど韓国の伝統文化公演も開催してきた。 鄭さんはふくかんねっとのイベントや講座に集まる人たちを見ながら、なぜこんなにも韓国に関心が高いのか不思議だった。交流を15年続ける中で、福島は田舎のせいか人々の情が特に厚く、家族を大切にするなど、韓国と似通った点が多く、親近感が感じられるためでないかと思うようになった。 2011年3月には東日本大震災と福島第一原子力発電所事故が発生し、その影響は今もあちこちに残る。人々の安全意識は高まり、健康を重視するようになった。食材を徹底的に検査する福島は、逆説的ながら最も安全な食べ物が供給される所なのだと鄭さんは話した。 今回の青少年交流行事では、韓日の青少年が抱き合って別れを惜しむ姿を見守った。鄭さんは「両国の青少年が何の偏見も無く友情を育むのを見ながら、両国の将来は明るいと確信した」という。交流を通じ両国がさらに近づけるよう、ふくかんねっととして今後も力を尽くす考えだ。 mgk1202@yna.co.kr
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