【ソウル聯合ニュース】韓国と北朝鮮は15日の光復(日本による植民地支配からの独立記念日)70周年を目前に控えているものの、関係改善の兆しは見えていない。 北朝鮮が非武装地帯(DMZ)の韓国側領域に埋設した木箱地雷が爆発した事件で南北間の軍事的緊張は急激に高まっているほか、北朝鮮は韓国政府の南北高官級協議の提案を無視し続けている。 民間レベルで光復70周年に合わせ進めてきた南北共同行事の開催も実現にこぎつけたものは一つもない。 朴槿恵(パク・クネ)大統領は5日、北部の江原道鉄原郡で行われた鉄道路線・京元線(ソウル―北朝鮮南東部・元山)南側区間の復旧工事起工式のあいさつで、「北は韓国の誠意を信頼し勇気を出して南北和合の道に賛同してほしい」と呼びかけた。 京元線の復旧事業は現政権が積極的に推進しているものの、北朝鮮側の協力が得られないため、まず韓国側の復旧工事が開始された。 同日、統一部は▼秋夕(中秋節、今年は9月27日)に合わせた南北離散家族再会▼光復70周年の共同記念行事の開催▼金剛山観光再開問題――などをテーマに南北高官級協議を提案しようとしたが、北朝鮮側は提案が書かれた書簡の受け取りすら拒否した。 また、同日には故金大中(キム・デジュン)元大統領夫人、李姫鎬(イ・ヒホ)氏が平壌を訪問し、南北関係改善の突破口となることが期待された。だが、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記との会談は実現せず、李氏の訪朝が南北関係に与える影響は限定的だとする見方が広まった。 朴大統領が京元線の復旧工事起工式に出席した前日の4日には、北朝鮮がDMZに埋設した地雷が爆発し、韓国軍兵士2人が脚の一部を切断する重傷を負う事件が発生した。 国防部はこれに対する報復として10日、南北軍事境界線沿いに設置した拡声器を使った北朝鮮向け宣伝放送を11年ぶりに再開した。宣伝放送を再開した前線地域では最高水準の警戒態勢(A級)が発令され、軍事的緊張が高まっている。 韓国の梁茂進(ヤン・ムジン)北韓大学院大教授は11日、聯合ニュースの取材に対し「北の木箱地雷は韓国が推進する京元線復旧事業やDMZ世界平和公園造成事業に対するけん制球だろう」と話した。その上で、北朝鮮は南北関係が悪化する中での京元線や平和公園事業の推進を快く思っていないとの見方を示した。 光復70周年と分断70年を控え、南北関係が最悪の状況に至り、韓国政府や民間レベルで推進されてきた南北共同行事も実現していない。 韓国と北朝鮮の民間団体は光復70周年を記念する南北共同行事の開催を推進してきたが、先月31日に予定されていた追加の実務協議は開かれなかった。 北朝鮮側は韓国側に対し、13~15日に開催される北朝鮮の民族統一大会への参加を求めている。これに対し韓国側は、共同行事をソウルと平壌で同時に開催し、双方が相手側の行事に参加する案を提示した。 このほか、韓国民間団体は記念式や文化行事、学術大会などを準備してきたが、北朝鮮側の消極的な態度で実現しなかった。 南北関係の悪化について、韓国政府の対話戦略・戦術不在も原因の一つだとする声も出ている。 李氏の訪朝当日に南北高官級会談を提案しようとしたが北朝鮮側が提案の書簡も受け取らなかったことで、光復70周年を控えた南北対話のチャンスを無駄にしたという批判もある。 北朝鮮側は、韓国政府の対話提案の意図が李氏の訪朝の意味を弱めることにあると判断したとみられる。 政府が訪朝する李氏側と認識を十分共有した上で対話を提案していれば、北朝鮮側が書簡すら受け取らないというような事態には至らなかったという指摘もある。 この機会に公式ラインを通じた南北対話のみに執着する政府の対北朝鮮外交の原則を見直す必要があるとの主張も提起された。 梁教授は「政府は南北関係において水面下の接触や非公開の特使派遣などを過去の誤ったやり方だと認識する傾向にあるが、厳しい状況であるときこそ、そういったやり方が効果を発揮することもある」と話した。 sjp@yna.co.kr
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