金容疑者から押収した北朝鮮関連書籍=(聯合ニュース)
金容疑者から押収した北朝鮮関連書籍=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】リッパート駐韓米国大使が襲撃された事件で、韓国の警察当局は金基宗(キム・ギジョン)容疑者から押収した北朝鮮関連書籍など10点余りについて、利敵性があるとみて国家保安法違反の容疑を立証することに力を入れている。一方、金容疑者は警察の取り調べで、北朝鮮や金日成(キム・イルソン)主席を礼賛していることが分かった。 同事件の捜査本部は9日、「金容疑者から押収した書籍と刊行物30点について外部の専門家に鑑定を依頼したところ、10点余りは利敵性があるとの報告を受けた」と発表した。 警察は事件発生翌日の6日に家宅捜索を行い、金容疑者の自宅兼事務所から書籍やビラなど計219点の証拠品を押収。このうち30点について利敵性のある北朝鮮関連のものとみなし、専門家に鑑定を依頼していた。 利敵性のある証拠品の中には金正日(キム・ジョンイル)総書記が書いた映画芸術論や、「主体思想」の教育に用いられる印刷物などの写本と原本が含まれる。 ソウル警察庁は会見で「利敵性が確認されたため、今後は所持の目的などを立証し、利敵表現物所持により、国家保安法違反の容疑適用を検討する」と説明した。 一方、警察の調べに金容疑者は「金日成は20世紀における民族の指導者だと思う」とした上で、日本植民地時代には抗日運動を行い、朝鮮戦争後は自分の国家を建設し、うまく統率してきたことから、20世紀のすばらしい指導者だと考えると説明した。また韓国には立派な大統領がおらず、半植民地社会だが、北朝鮮は自主的な政権であるとの考えを示したという。 警察は金容疑者が1999年から2007年にかけて北朝鮮を7回訪問し、2011年にはソウル市内に金総書記のための焼香所を設置した事実などを確認した。 また警察は事件の重大さを勘案し、米連邦捜査局(FBI)との捜査協力を積極的に行い、ツイッターやフェイスブック(FB)など、米国にサーバーを置くSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で金容疑者が活動した内容を調べている。 さらに、金容疑者は「2010年に日本大使をコンクリートで攻撃した時、あまり威嚇的ではなかったため、(今回は)刃物を準備すれば、より威嚇的だと思い、ナイフとカッターを準備した。自制心を失い、犯行はしたが殺害の意図はなかった」と述べていることが分かった。 警察は「目撃者の証言に基づき、金容疑者は最低でも2回以上、大使を攻撃したと判断される。大使の傷が深く、カッターではなく危険性が高いナイフを選択したことを踏まえると、殺害の故意が認められる」との見解を示した。 yugiri@yna.co.kr
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