【ソウル聯合ニュース】大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)前副社長(航空保安法上の航空機航路変更などの罪で起訴済み)が離陸直前だった自社機を引き返させて機内サービスの責任者を降ろした事件で、趙氏がこれまでの主張とは異なり、航空機が出発のため移動しているのを知っていたことが16日までに分かった。 聯合ニュースが入手した起訴状によると、先月5日(米東部時間)、米ニューヨークのケネディ国際空港から仁川に向かう大韓航空KE086便のファーストクラス席に搭乗していた趙氏は、女性乗務員のナッツの出し方が間違っていると責め、「ひざまずいて(サービスのマニュアル)探せと言っている。サービスマニュアルもまともに知らないのなら連れて行かない」と怒鳴った。その後、ファーストクラスの入り口まで行き、機内サービスの責任者であるパク・チャンジン事務長に向かって「飛行機をすぐに止めろ。この飛行機は飛ばさない。直ちに機長に飛行機を止めるよう連絡しろ」と、停止を指示した。 同機はすでに空港の第7ゲートから誘導路方向へ進んでいるところだった。そのためパク氏が、滑走路に差し掛かっており止めることはできないとして引きとめたが、興奮状態の趙氏は「関係ない、私にたてつくのか、誰に向かっての口答えか」「私が止めろと言っている」などと3~4度大声を上げた。 これまで趙氏は航空機が動き始めていたか分からなかったと一貫して主張し、航空保安上の航空機航路変更の罪を全面否認してきた。 趙氏はマニュアルを自分で確認してようやく、女性乗務員がマニュアル通りのサービスを行い、勘違いをしていたのは自分だったことに気付いた。すると、今度は怒りの矛先をパク氏に向けた。パク氏が最初からきちんと答えなかったために女性乗務員が怒られることになったとしながら、「責任はあんただ、降りろ」と怒鳴り、パク氏を力任せに入り口の方へ押しやった。 結局、同機からパク氏を降ろし、予定から約20分遅れで出発した。しかし、247人の乗客に謝罪する機内放送はなかった。 事件が報じられ国土交通部が調査に着手すると、趙氏が早々に大韓航空の役員や社員に虚偽の証言を指示していたことも分かった。 起訴状によると、調査初日の先月8日、趙氏は大韓航空の常務(起訴済み)に電話をかけ、報道で航空法違反の有無が取り上げられているとしながら、最終決定は機長がしたものだと言い含めた。また、世論の沈静化を図るため、事件は趙氏でなくパク氏によって引き起こされたという趣旨のうわさを、乗務員でつくる組織を通じて流すことも指示した。常務は指示に従うとし、電子メールで状況を随時報告した。 一方、当時ファーストクラスにいた趙氏以外の唯一の乗客は、事件が報じられた直後、大韓航空の顧客センターに趙氏に関する苦情を申し立てた。すると常務が社長に対し、目撃者であるこの乗客に顧客サービス室からお詫びとそのしるしが必要だと進言。社長から顧客サービス室に特別に命じるよう頼んだ。常務はまた、この乗客への対応について、顧客サービス担当部署まで出向いて懐柔した。こうした過程は趙氏も報告を受けて知っていた。 検察は今月、趙氏を航空保安法上の航空機航路変更、航空機安全運航阻害暴行と刑法上の強要、業務妨害、偽計による公務執行妨害の五つの罪で起訴した。趙氏の初公判は19日午後、ソウル西部地裁で開かれる。 mgk1202@yna.co.kr
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