【議政府聯合ニュース】北朝鮮の体制を非難するビラの散布を阻止され精神的な苦痛を受けたとして、韓国民間団体メンバーの男性が国を相手取り、5000万ウォン(約540万円)の損害賠償を求めた訴訟で、議政府地裁は6日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。 民間団体のビラ散布は表現の自由に当たるが、北朝鮮が「報復措置を取る」などとして強く反発しており、南北軍事境界線周辺に暮らす国民の生命への脅威に対応するため、ビラ散布を阻止できると判断した。 地裁は「ビラ散布で国民の生命と身体が(北朝鮮の)脅威にさらされ、基本権を制限できる『明白で現存する脅威』とみなすことができる」とした。脅威の根拠としては、北朝鮮がビラ散布に対して報復すると警告し続けていることや、昨年10月10日、民間団体が飛ばしたビラ風船に向けて北朝鮮軍が発砲し、南北軍事境界線に近い京畿道・漣川地域に着弾したことなどを挙げた。また、「当局の(散布)阻止も行き過ぎたものではなかった」とした上で、「原告が主張する警察と軍人の制限範囲は直接的な物理力の行使ではなかった」と説明した。 元北朝鮮脱出住民(脱北者)で、民間団体のメンバーとして活動する原告の男性は昨年6月に提訴した。男性は訴状で、2003年から情報機関・国家情報院や軍、警察の関係者らに監視され、ビラ散布活動を妨害されたと主張。北朝鮮住民の知る権利と人権向上のためビラを飛ばしており、これは表現の自由に当たるため、国がビラ散布を阻止してはならないと訴えた。 男性は判決後、聯合ニュースの取材に応じ、「判決に満足できない。控訴を検討する」との考えを示した。 男性は5日、今年初めて漣川地域でビラ風船を北朝鮮に向けて飛ばした。 kimchiboxs@yna.co.kr
Copyright 2015(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0