女子サッカーの練習試合を観戦する金第1書記=12日、ソウル(労働新聞=聯合ニュース)
女子サッカーの練習試合を観戦する金第1書記=12日、ソウル(労働新聞=聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国・仁川で開催される第17回アジア競技大会の開幕まであと1か月に迫った。
 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は政権発足後から「体育強国」の建設を掲げており、このところのアジア大会で不振が続いている北朝鮮の成績に注目が集まる。
 体育強国の建設は体制強化や宣伝などの手段とされ、こうした政策を反映し北朝鮮のスポーツ界は過去にない大規模な支援を受けている。
 北朝鮮は今大会、14競技に150人の選手を送る。
 金第1書記が朝鮮労働党や軍、政権を掌握してから北朝鮮が国際スポーツ大会に参加するのは、2012年の英ロンドン五輪に次いで今大会が2回目となる。
 政治が体育を支配する全体主義国家であることを踏まえると、今大会での北朝鮮の成績に関心が高まる。
 ◇暗黒時代の北朝鮮スポーツ
 このところアジア大会での北朝鮮の成績は不調が続いている。
 北朝鮮は1974年のイラン・テヘラン大会から02年の釜山大会まで、常に国別総合成績で10位以内につけていた。
 だが、06年のカタール・ドーハ大会では16位、10年の中国・広州大会でも12位と振るわなかった。
 メダル獲得数で韓国との差が拡大し、広州大会では韓国の232個に対し北朝鮮は36個と大きく水をあけられる形となった。
 北朝鮮の成績不振は1990年代中ごろから国際的に孤立したことに加え、自然災害などによる経済危機に見舞われたためと分析される。
 金東善(キム・ドンソン)京畿大教授(スポーツ経営学)は「故金正日(キム・ジョンイル)総書記は体制宣伝のため政策として芸術を積極的に活用したが、スポーツには投資しなかった」と話す。
 金教授は、その理由を「経済難」と説明した上で、「90年代中ごろからの『苦難の行軍』以降、国際スポーツ大会への出場が大幅に減り競技力が落ちた」と話した。
 ◇「体育強国建設」にまい進
 金第1書記は12年11月に国防委員会直属のスポーツ専門機関として国家体育指導委員会を新設しスポーツへの投資を指揮している。
 韓国統一部によると、金第1書記が体育関連活動を視察した回数は12年が6回だったが、13年から最近までは25回と増えている。
 北朝鮮は昨年1~10月までに約60の国際大会に選手を派遣し約360個のメダルを獲得した。12年の4倍を超える入賞者を出したと宣伝している。
 朝鮮中央テレビや朝鮮労働党機関紙・労働新聞などのメディアは民心を捉え社会に活力を与えるためとみられるスポーツコーナーを13年5月から運営している。
 軍を優先する北朝鮮で軍事施設を民間の乗馬場につくり変えたことは北朝鮮体育の変化を象徴するものと考えられる。
 ◇投資の成果はいかに
 北朝鮮の出場競技はサッカー、重量挙げ、陸上、体操、射撃、柔道、ボクシング、競泳、レスリング、卓球、アーチェリー、カヌー、ボート、空手。
 北朝鮮はロンドン五輪で金メダル4個、銅メダル2個を獲得し、過去最高の成績を収めた。
 重量挙げでは金メダル3個、銅メダル1個を獲得し、世界トップレベルの実力を誇った。
 また、柔道やレスリングなど格闘競技でもメダルを獲得した。
 金教授は最近、金第1書記が練習試合を観戦した後、仁川アジア大会に言及していることに触れ、「北朝鮮は伝統的に強い競技を中心に目に見える成果を出そうと努力するだろう」と予想した。
 また、今大会を通じ経済難や権力移譲の過程で離れた民心をつかみ、対外的には北朝鮮の閉鎖的なイメージを改善するほか、南北間の不信解消にも期待しているのではないかと分析した。

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