【ソウル聯合ニュース】経済協力開発機構(OECD)は17日に発表した「韓国経済報告書」で、韓国の景気が現在より悪化した際には利下げなどの通貨緩和政策、追加補正予算案などの財政政策を動員し、景気を浮揚させなければならないと提案した。
◇韓国成長率見通しは維持
 OECDは韓国の景気について、下方リスクが現実化すれば、通貨政策の追加緩和や短期財政政策を通じて景気を浮揚すべきだと勧告した。報告書に明記はされなかったが、通常、通貨緩和政策には利下げなどが、財政を動員した景気浮揚策には補正予算などの対策が含まれる。
 OECDは、米国の量的緩和縮小の直接的な影響は大きくないが、円安や新興国経済の不安など対外リスク要因は存在していると診断した。
 国民年金や雇用保険など社会保障性の基金を除いた管理財政収支を2017年までに均衡水準に回復させるという目標は、現在の景気改善の勢いが持続することを前提とすれば達成可能と予想した。
 OECDはこうした流れを前提に、今年5月に発表した韓国経済成長率見通し(今年4.0%、来年4.2%)は維持した。
 輸出改善は企業の投資回復に、雇用と賃金の改善傾向は民間消費の増加につながるとの見通しを示した。
 通貨政策の追加緩和なしでも消費者物価上昇率が来年は3%に迫り、経常収支黒字の対国内総生産(GDP)比は約4.5%に縮小すると予想した。
◇基礎年金は最低貧困層に集中を
 OECDは、今後の社会福祉分野での支出増加を勘案し、財政政策の柔軟性と財政健全性の維持に向けた努力を調和させる必要があると助言した。
 長期的に財政健全性を維持するためには財政ルールを含めた強力な財政政策の枠が必要だと勧告した。
 また、基礎年金の活用については、最低貧困水準にある高齢層が絶対的貧困状態から脱することに集中させるべきだと指摘した。
 国民年金については、包括範囲を拡大し、所得代替率は約50%に維持するが、増加する年金支出を賄うためには年金保険料率を引き上げるよう提案した。
 このほか、退職年金導入のペースを速め、個人年金を強化することで、退職に備えた民間貯蓄を拡大し、個人負債問題を積極的に解決すべきだと強調した。
 正規雇用の労働者に対する雇用保護を弱め、非正規雇用の労働者に対する社会保険の適用や職業訓練の強化を通じて労働市場の二重構造を改善すべきだと指摘した。
 韓国政府の経済革新3カ年計画については、成長潜在力を拡充し、低成長の危機克服に必要な果敢な構造改革が含まれた包括的計画だと評価した。同計画が成功した場合は、長期的に韓国が最高水準の先進国入りを果たすことができるとの見通しを示した。
◇アジア通貨危機以降、所得格差深刻化
 OECDは1997年のアジア通貨危機以降、所得の格差とそれに伴う低所得層の貧困が深刻化したと診断した。中産階級の割合が1990年の75.4%から2010年には67.5%に減少した点を根拠とした。 
 OECDは政府の中小企業支援を次第に縮小・簡素化しつつ、起業後間もない企業に支援を集中し、公的支援の長期化を防がなければなければならないと勧告した。 
 私教育に対する依存度を減らすために、内申点中心の評価を拡大するなど代案も提示した。 
 中小企業を育てるための大企業系列社に対する市場進入制限は徐々に廃止するべきと提案した。 
 大企業の活動を制限するより、すべての企業にとって魅力的な国内市場を作ることが望ましいと忠告した。 
 中小企業専用株式市場であるコネクス(KONEX)は企業の重要な資金調達手段として育成し、職業教育や職業訓練は中小企業の需要に合うよう改善しなければなければならないと指摘した。
 商品取引規制は緩和し、イノベーションに対する投資成果を高め、電気料金は最低でも生産コストを割らない水準に引き上げなければなければならないとした。
 OECDはサービス業と製造業において公平性を保ち、サービス規制は緩和しなければなければならないと主張した。 
 進入障壁をなくして競争を拡大し、規制緩和や貿易及び外国人直接投資の障壁縮小によるサービス産業育成などの課題も提示した。 
 温室効果ガス排出権取引制度は計画どおり来年から施行し、制度以外の部分ではガス排出に対する課税制度を整備しなければなければならないと提案した。


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