【光州聯合ニュース】韓国旅客船セウォル号の沈没事故で、乗客を救助せず脱出したとして殺人罪に問われた同船の船長、イ・ジュンソク被告ら乗組員15人に対する初公判が10日、光州地裁で始まった。
 イ被告ら4人は乗客に船内で待機するよう指示し、避難誘導などの措置を取らず、乗客より先に脱出したとして殺人罪などで起訴された。11人は遺棄致死などの罪に問われている。
 遺族約100人は法廷のほか、別室に設けられたテレビで裁判を傍聴した。
 裁判では被害者代表の意見陳述、検察官の起訴趣旨朗読、公訴事実に関する被告弁護人の意見、証拠申請や証拠に関する検察官と弁護人の意見陳述などが行われた。
 事故の犠牲者・行方不明者・生存者家族対策委員会のキム・ビョングォン委員長は「時間が経つと傷が癒えるというが、われわれの時間は止まったようだ。今も学校から帰る生徒たちを見ると、わが子が『お母さん、お父さん、ただいま』と話してくれるような気がする」と語った。その上で、「被告人たちが脱出を呼び掛ける放送を1度だけでもしたら、脱出しようとした時に(避難)案内でもしていたら、子どもたちは助かったはずだ。これが殺人でなくて何なのか。被告人たちは乗客だけでなく、家族の魂まで殺した」と非難した。
 被告の名前などを確認後、検察側は公訴事実を朗読した。検察官は感情を抑えきれず、言葉に詰まる場面もあった。傍聴席からはため息が漏れた。出廷する乗組員らと対面した一部の遺族らは「人殺し」などの怒号と罵声を浴びせ、裁判長から制止された。
 被告人が15人で、弁護人の辞任で国選弁護人が付いた被告人もいるため、今後、公判準備手続きが1~2回行われる見通しだ。殺人罪に問われた4人は公訴事実を認めないとみられ、裁判官が殺人罪を認めるかどうかが最大の焦点となる。
 4月16日に珍島沖で起きた沈没事故により、これまで292人の死亡が確認され、12人が行方不明となっている。

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