【仁川聯合ニュース】韓国旅客船セウォル号の沈没事故で、同船の運航会社、清海鎮海運の実質的なオーナーとされる兪炳彦(ユ・ビョンオン)容疑者(73)が密航をあっせんするブローカーに対し100億ウォン(約10億555万円)を提示していたことを司法当局が把握していることが10日、明らかになった。
 司法当局によると、兪容疑者側の人物が今月初め、密航ブローカーに接触。中国などに密航が可能か打診したことがわかった。
 兪容疑者側が提示した密航の人数は5人で、成功時に100億ウォンを支払うとした。中国などに密航する場合、通常1000万~2000万ウォンの費用がかかるという。
 人数を5人としたことから、兪容疑者の他に逮捕令状が発布された長男や兪容疑者の逃亡を助ける人員などが加わっているものとみられる。
 兪容疑者側はブローカーに対し、その後連絡を取ってきていないという。
 兪容疑者は現在、全羅南道の海南、および木浦周辺に身を隠し、複数のブローカーに接触しながら密航を企てていると推測されている。 
 兪容疑者の密航に備え、検察と警察は木浦および海南などで捜索を行っている。その他にも釜山など主な港がある地域でも聞き込み捜査を行っている。
 木浦海洋警察署は約100人の人員を投入。密航を実行しやすい農場近隣の港や入り江など25か所を監視している。全南地方警察庁も検問捜査の人員を当初の100人余りから150人に増やした。
 検察はこれまで大々的な捜索を行ってきたが、兪容疑者の逮捕には至っていない。兪容疑者がすでに韓国を出て、中国への密航に成功した可能性も排除することはできない。だが兪容疑者は自ら創設したキリスト教系新興教団の施設「クムス院」(京畿道・安城)から抜けだして以降、司法当局に追われ続けている上、密航を防ぐための措置が取られていたため、包囲網を突破して密航した可能性は高くないとみられている。

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