首脳会談後に記者会見する両国首脳=25日、ソウル(聯合ニュース)
首脳会談後に記者会見する両国首脳=25日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と来韓中のオバマ米大統領は25日、青瓦台(大統領府)で首脳会談を行い、韓米連合軍司令官(在韓米軍司令官兼務)から韓国軍への有事作戦統制権移管について、移管時期の見直しを検討することで合意した。また、北朝鮮の4回目の核実験などさらなる挑発には新たな制裁を伴うと強く警告した。
 両首脳は1時間半にわたる会談で、▼北朝鮮核問題への対応▼韓米同盟強化▼韓米自由貿易協定(FTA)の履行▼韓国の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加▼原子力協定の改定――などの懸案を協議するとともに韓米同盟の強固さを確認した。

 オバマ大統領の来韓は2012年3月に続き4回目で、朴槿恵政権発足後は初となる。
 特に両首脳は北朝鮮の核・ミサイルの脅威と変化する安保環境を踏まえ、作戦統制権移管時期の見直しを検討することで一致。具体的な時期と条件は両国国防当局の交渉に一任した。
 今回の合意は、韓国海軍哨戒艦撃沈や延坪島砲撃など北朝鮮による相次ぐ挑発や、4回目となる核実験強行の示唆など、南北関係の緊張の高まりに加え、中国と日本による領土紛争など、朝鮮半島周辺の安保状況の変化を受け、作戦統制権移管を再延期したいという韓国の要求を米国が事実上、受け入れたものと分析される。
 作戦統制権は来年12月の移管を予定している。韓国側は移管時期の延期を求めているが、米政府はこれまで明確な立場を示してこなかった。
 北朝鮮の核問題については、「完全かつ検証可能で、後戻りできない北朝鮮の非核化」を達成するために、確固たる意志を持って緊密に協力するとした上で、北朝鮮が国際社会で果たすべき義務を果たし、公約に背くような追加挑発をしないことを強く求めることで一致した。
 オバマ大統領は朴大統領が南北統一構想「ドレスデン宣言」で提示した平和的に統一された朝鮮半島に対するビジョンを支持した。また、北朝鮮当局の住民に対する「組織的かつ持続的な人権侵害」について追及していくことで両首脳は合意した。
 韓米FTAと関連しては、「協定の完全な履行」に努めることを再確認し、米国が主導するTPPへの韓国の参加について、緊密に協議していくことで認識を共にした。
 さらに会談後の共同記者会見で朴大統領は北朝鮮の核問題について、「北の新たな形での挑発は、新たな国際的な圧力を招く」と警告。北朝鮮による4回目の核実験の可能性については「いつでもできる状態」とした上で、「誰の話も聞こうとしないなら、(北朝鮮核問題をめぐる)6カ国協議も必要なくなる。中国が北に対し、強い措置を取ることを期待する」と述べた。
 「ドレスデン宣言」については、「北の政権が拒否しているが、この構想は苦痛を受けている北の住民に最低限の人生の価値を伝え、南北の住民が同質性を回復するためのもの」と説明。「我々は原則を持って推進する」と強調した。
 オバマ大統領も「北朝鮮が中国の安全保障も脅かしているという事実に、中国が少しずつ目を向けているようだ」とした上で、「今後継続して北朝鮮の挑発があると予想されるだけに、さらに北朝鮮に対し圧力をかける方法を模索することが重要」と述べた。
 ◇対日姿勢では温度差
 朴大統領は韓日関係に関連して、村山談話と河野談話の継承、慰安婦問題の解決など安倍首相が過去に行った約束に触れ、「約束した部分については誠意ある実践が重要だ」との認識を示した。
 一方、オバマ大統領は、戦時中だったことを考慮しても慰安婦問題は非常に無残な人権侵害問題であり、被害者らは尊重されて当然だと共感を示しながらも、「安倍首相と日本国民も過去をより正直に、公正に理解しなければならないことを認識しているだろう。日本と韓国の国民に話したいことは、われわれが過去を振り返りつつも、前に進まなければならないということだ」と述べ、温度差が浮き彫りになった。
 両首脳は会談開始前に、オバマ大統領の提案により韓国旅客船沈没事故の犠牲者に黙とうをささげた。
 オバマ大統領はあいさつで「韓国国民が悲しみに包まれている時期に訪韓した。米国民を代表し深い哀悼の意をささげる」と述べた。沈没事故当日に米ホワイトハウスに掲げられていた星条旗と庭に植えられていたモクレンの苗木を哀悼の意を込めて韓国側に贈った。
 また、首脳会談終了後、米国に違法に持ち出された大韓帝国(1897~1910年)の国璽(こくじ)「皇帝之宝」など印章9点を韓国側に正式に返還した。
 オバマ大統領は26日、帰国前に朴大統領と共に韓米連合司令部を訪れ、韓米同盟の抑止力を確認する。韓米首脳が共に同司令部を訪れるのは初となる。

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