第13期最高人民会議代議員選挙の投票所で投票するヨジョン氏=(聯合ニュース)
第13期最高人民会議代議員選挙の投票所で投票するヨジョン氏=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の妹・ヨジョン氏が昨年から金第1書記の「秘書室長格」である朝鮮労働党書記室長として活動していることが分かった。
 北朝鮮消息筋は30日、張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が昨年12月に処刑される前の昨年上半期ごろから、ヨジョン氏が党書記室長に任命されて活動しているとした上で、「これまで金第1書記の最初の秘書室長だったキム・チャンソン氏の下で仕事をして教育を受けたもよう」と伝えた。
 金日成(キム・イルソン)・金正日(キム・ジョンイル)・金正恩(キム・ジョンウン)と続く世襲体制で書記室長は最高指導者の最側近が歴任してきたが、直系家族が務めるのはヨジョン氏が初めて。
 韓国青瓦台(大統領府)の秘書室と類似している党書記室は政策決定には関与しないが、最高指導者とその直系家族に対する生活必需品の購入や供給など、日常生活のサポートをする。
 また書記室は党と国防委員会、内閣など主な機関から上がってくる報告文書を金第1書記に伝達する役割も担っている。
 消息筋によれば、党書記室は国防委員会書記室、あるいは金正恩書記室とも呼ばれ、ヨジョン氏は党書記室長兼国防委書記室長という立場だと説明した。
 長官(閣僚)級に該当する書記室長は、金正日体制では党第1副部長と北朝鮮メディアに紹介されていた。
 北朝鮮メディアは9日、金正恩政権スタート後に最初に行われた第13期最高人民会議代議員(国会議員に相当)選挙で、金第1書記と共に投票所に現れたと報じた。初めての公式の場への登場となったヨジョン氏を「労働党中央委員会責任イルクン(活動家)」と紹介した。
 北朝鮮メディアがヨジョン氏を党副部長の中で、最後に紹介したのは、年齢を考慮したものと推定される。
 ヨジョン氏が27歳という若さで長官級である書記室長に任命されたことは、金正日体制で正日氏の妹・慶喜(ギョンヒ)氏が務めた政治的役割を今後、ヨジョン氏がはるかに上回るとされる根拠となる。
 慶喜氏は金正日体制を構築中の1976年から党国際部副部長として活動したが、87年に党軽工業部長を務める前まで金総書記の公式活動に名前が挙がったことはない。そのためヨジョン氏が、最高指導者である兄の活動と生活に直接関わる立場に早くから公式登場したことが示唆するものは大きい。
 また張成沢国防副委員長の処刑とその妻の慶喜氏の引退により生じた空白に代わり、妹・ヨジョン氏を公式の場に伴うことで、3代続くいわゆる「白頭血統」の直系であることを示し、世襲の正当性を強調する狙いもあるとみられる。
 ヨジョン氏は1990年代後半に2人の兄と共にスイスに留学。平壌に戻った後も、外国人教師から英語などを学んだとされる。
 一方、金第1書記の書記室長だったキム・チャンソン氏は国防委の儀礼局長を任ぜられ、金第1書記の儀式を専門に担当すると伝えられた。

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