【ソウル聯合ニュース】韓国の与野党が、国定歴史教科書の復活や教育部の教科書検定過程への直接介入方針をめぐり激しい攻防を続けている。
 歴史教科書をめぐっては、昨年8月、今年から高校で使われる韓国史教科書8冊が検定を通過したが、保守系学者らが執筆した教学社の教科書が日本による植民地支配を一部肯定的に記述しているなどとして市民団体などが検定の取り消しを求めた。一方、保守派は別の教科書の北朝鮮に関する記述が北朝鮮寄りだと指摘し、論争が激化した。
 教育部は同10月から11月にかけて8冊すべてを対象に修正・補完を勧告。先月、修正・補完作業が完了し、論争も一段落するとみられていたが、今年に入り与党セヌリ党が歴史教科書を現在の検・認定体制から過去の国定教科書体制に戻す案について積極的な検討に乗り出した。セヌリ党の動きに対し、最大野党の民主党は「時代錯誤的な発想だ」と批判している。
 現在の検・認定体制では、国の検定に合格した民間の出版社の教科書を各学校ごとに採択するが、国定教科書は教育部が直接教科書を製作し、各学校に配布する。韓国の歴史教科書は1974年から国定教科書が使われたが、2002年から検・認定制度を導入した。
 セヌリ党は、未来世代に誇りを持たせることができる歴史教育のためには現行体制の変化が必要だと主張しているのに対し、民主党は政府と与党が「歴史歪曲(わいきょく)教科書」を通じて幼い世代の歴史認識を掌握しようとしているのではないかと反発している。
 セヌリ党の閔ヒョン珠(ミン・ヒョンジュ)報道官は10日、聯合ニュースの電話取材に対し「歴史教科書は国家のアイデンティティーの確立と未来世代の発展の最も根幹となる歴史教育と関連があり、非常に重要な問題だ」と述べた。その上で、「国家のアイデンティティーを正す方向へと歴史教科書を改編する必要がある」との考えを示した。
 また、「政界が中立的な立場で歴史教科書問題を解決すべきだが、野党側が持続的にこの問題に介入し、政治問題に変質した」と指摘した。
 一方、民主党の金ハンギル代表は同日の最高委員会議で「国定教科書について検討を進め世論の批判を浴びた教育部が、今度は教科書検定過程に直接介入するとしている。歴史歪曲教科書を承認した教育部長官が責任を取って退かなければならない状況だ」と批判した。
 民主党は国定教科書をめぐる議論と関連し、国会教育文化体育観光委員会に徐南洙(ソ・ナムス)教育部長官を出席させ、緊急質疑を行う計画だ。

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