【ソウル聯合ニュース】昨年末からの円安の流れが経営に悪影響を与えると、韓国輸出企業が緊張している。
 対ドルの為替レートは1ドル=100円を超える水準になっているが、1年後には110円台の円安になるとの見方も出ている。円安は海外市場で自動車、鉄鋼、電子など韓国企業と激しく競争する日本企業の価格競争力を高め、韓国企業に打撃を与える。
 円安の衝撃が最も大きいとされる分野は自動車。韓日自動車業界が競争を繰り広げる米国市場で、今年1~10月にトヨタ自動車は前年同期比8.1%増の186万7000台、ホンダは8.5%増の127万4000台、日産自動車は9.1%増の103万2000台を販売した。
 一方、現代・起亜自動車グループの販売は同期間に0.9%減の105万8000台にとどまった。日本のライバル社がほぼ10%の販売増加を見せる一方、韓国勢は後退した。
 日本の自動車メーカーは円安を追い風に売り上げや利益を大きく伸ばしている。トヨタが先月発表した今年4~9月期の決算によると、売り上げは同14.9%増の12兆5300億円を記録。営業利益は81.0%急増の1兆2600億円になった。
 だだ、日本の自動車メーカーは円安を背景に短期間に低価格攻勢をかけることが出来ないという見方がある。海外生産の比重が高いため、日本の自動車メーカーが価格を引き下げられる余地は大きくない。現代自動車によると、トヨタの場合、海外生産の比重が60%を超え、ホンダと日産はそれぞれ74%と80%に達する。
 現代・起亜自動車グループの関係者は、「まだ円安の効果は限定的と見ているが、長期化すれば問題は別」とした上で、「円相場の動きを見定めている」と述べた。
 自動車とともに韓国輸出の大きな担い手である電子業界も、日本のライバル業界は資材の輸入コストの負担が大きくなるので、今すぐ攻撃的な値引きに乗り出せるとは見ていない。
 だだ、日本の電子業界がここ1年間の円安効果で得られた収益を基に、米国の年末・クリスマス商戦にどれぐらい値引きし製品を提供するかサンスン電子とLG電子は気にしている。
 電子業界は円安に短期的に対応するよりも、コスト削減、物流の効率化、在庫・債権管理の強化、高い海外生産割合の維持、決済通貨の多様化などを通じて競争力の強化に力をいれる計画だ。
 世界経済が停滞するなか、中国からの供給過剰が響いている韓国の鉄鋼メーカーも、今の急激な円安に懸念を示している。まだ収益に打撃を与えるほどではないが、円安がさらに進むと日本の鉄鋼業界が価格競争力を回復し東南アジアなど韓国との競合市場に食い込むという懸念の声が上がっている。
 韓国鉄鋼最大手、ポスコの関係者は「ポスコをはじめとする国内の鉄鋼メーカーは今まで辛うじてしのいできたが、来年、供給過剰と円安のうち、どちらか一つが解決されなければ苦境にさらされる恐れがある」と話した。
 円安に関連し、外資系投資銀行はドル・円が1年後に1ドル=110円の円安レベルを突破する観測を出した。モルガン・スタンレー、BNPパリバなど大手投資銀行9社が提示した1年後のドル・円の予想平均は1ドル=110.89円だった。
 韓国輸出企業は、かつて厳しい円高を乗り越えながら価格競争力を高めた日本企業のように、コスト削減に乗り出すべきだという指摘も上がる。 
 韓国政府系シンクタンク、産業研究院の司空穆(サゴン・モク)研究員は「円安が長期化する場合、韓国企業もコストを削減せずにいられない状況が来る。緊張し価格競争力を強化するためにもっと努力をするべき」と述べた。

Copyright 2013(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0