【ソウル聯合ニュース】韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と中国の習近平国家主席が27日、経済通商協力のレベルアップに関する覚書(MOU)に署名したことから、現在進行中の韓中自由貿易協定(FTA)締結のための交渉が加速すると見込まれる。
 韓国産業通商資源部と中国商務省は、投資協力委員会などを機に通商トップ会談を定例化、局長級の実務委員会を設けることで合意した。また、韓中FTAのモダリティ(交渉の進め方)協議を早期に終え、次のステップに進むことにした。これは、定例の通商協議チャンネルを稼動させると同時に、FTA交渉において一段階高いレベルの推進力を保証するものと解釈できる。
 特に習主席が、高いレベルのFTAの早期交渉締結に向け努力する必要があると言及した点が注目される。韓中FTAが1段階目の交渉を終え、2段階目に進むことが可能というシグナルとみなすことができるためだ。
 韓中は1992年の国交樹立後、経済協力を拡大し続け、昨年の貿易規模は2000億ドル(約19兆5000億円)を超えた。それだけFTA締結が強く求められている。両国は2004年にFTAに関する民間共同研究に着手、2010年に政府間の事前実務協議が始まり、昨年から本交渉が本格化した。
 韓中はこれまで5回のFTA交渉を行ってきたが、敏感品目、関心・要求事項などをめぐり交渉は少なからず難航した。韓国は主力の電子、半導体、自動車などの早期関税撤廃を要求している。金融や流通サービス市場の開放にも積極的だ。公共調達市場も開き、非関税障壁を緩和する半面、知的財産権には厳格に対応する戦略だ。韓国の投資企業が中国で地位を保障されるようにすることも目標の一つに設定している。
 一方、中国は農水畜産物や軽工業、労働集約的な製品の市場開放を重視する。労働力移動の開放、動植物検疫手続きの改善、中国に対する反ダンピング(不当廉売)やセーフガード(緊急輸入制限)の解除も求めている。
 両国は4月の第5回交渉で、原産地と通関手続きに対するモダリティに原則合意した。来月2日からは6回目の交渉に入る。ここで全体のモダリティ文案をまとめ、可能な分野からモダリティ交渉を妥結することが期待される。
 交渉が2段階目に進めば、急速に進展する可能性もある。第6回交渉に中国首席代表として出席する商務省の孫元江国際局副局長は先ごろ、朴大統領の訪中がFTA交渉進展のきっかけになるとの見方を示した。
 ただ、農畜水産物の問題や大規模な労働力移動を伴うサービス市場の開放問題は、短期間での合意は難しいとみられる。また、米国の量的緩和縮小、中国の金融危機懸念などが交渉の進展に影響を及ぼしそうだ。米国主導の環太平洋連携協定(TPP)、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)主導のアジア地域包括的経済連携(RCEP)もかかわってくる。これに関し韓国は、TPPとRCEP、韓日中FTAなどにおいて中心軸の役割を果たすという通商ロードマップを策定済みだ。
 韓中は今回のMOUを通じ、中国の西部大開発、東北地域の工業基地振興、ニュータウン事業に韓国企業が参画できるよう支援することで一致した。第三国での共同受注やインフラ建設、エネルギー資源開発などでも協力する。
 このほか、省エネ分野の協力強化に向けたMOUも結ばれた。中国でエネルギー効率化事業を共同推進する。また、情報通信、ナノ、バイオ分野の先端産業技術とエネルギー資源の応用技術協力強化に向けた閣僚級協議体の新設も、成果の一つと評価される。

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