【ソウル聯合ニュース】孤児出身の北朝鮮脱出住民(脱北者)9人がラオスから追放された異例の事件は、北朝鮮が金正恩(キム・ジョンウン)体制下で脱北者の取り締まりを強化していることと関連があるようだ。
 北朝鮮は韓国で生活していた元脱北者による記者会見を開くなど、脱北者の誘引・拉致工作に総力を挙げている。今月27日、ラオス政府が脱北者9人を中国に送り返す際に北朝鮮大使館が介入したことも、典型的な脱北者拉致工作だと指摘されている。
 複数の対北朝鮮消息筋によると、脱北者政策は金第1書記が自ら指揮しており、中国当局の黙認の下で活動している国家安全保衛部(秘密警察)の「脱北者逮捕組」も、金正恩体制に入ってから人員が大幅に増やされたという。
 韓国の民間団体、脱北難民人権連合のキム・ヨンファ代表は、延吉や丹東、瀋陽に常駐している逮捕組は150人に上り、中には韓国亡命を希望する脱北者を装った女性も多いと話している。
 中国で活動する脱北者逮捕組の任務は、脱北者の韓国行きルートを探し出し、中国以外の第3国まで出向いて脱北者を連れ戻してくることだという。ラオスの脱北者追放事件にもこの逮捕組が介入したとの見方もある。
 これまで、脱北者の大半は中国以外の第3国で逮捕されても中国に追放されるか、または現地の韓国大使館に引き渡されており、今回のように北朝鮮の公館に引き渡されたことはなかった。
 また、金正恩体制に入ってから中朝国境の統制も大幅に強化された。北朝鮮は先ごろ、国境近くの咸鏡北道・古茂山に検問所を設けるなど、北朝鮮住民の国境への移動も厳しく規制しているとされる。
 脱北者の韓国亡命を支援しているグループによると、脱北者が国境を越えて中国に渡るには、北朝鮮の国境警備隊員に3万元(約50万円)以上を渡さなければならない。また、北朝鮮住民が脱北のため咸鏡北道清津市などから国境地域に移動するには、北朝鮮のブローカーに2000~2500ドル(約20万~26万円)を支払う必要があるという。
 キム・ヨンファ代表は、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の時代には国境の川を渡る費用が100万韓国ウォン(約9万円)ほどだったが、金正恩体制に入り脱北を手助けする国境警備隊員への処罰が強化されたため、今では600万ウォンでも助けてくれる軍人を探すのは難しいと話している。

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