【ソウル聯合ニュース】金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去後、金正恩(キム・ジョンウン)体制の強化に注力した北朝鮮が来年はどのような動きを見せるか。内部権力の掌握に成功したとみられる金正恩第1書記は当面、経済と外交に集中するものとみられる。
 後継者の金第1書記は金総書記の死去後、軍の最高司令官に続き、党の第1書記、国防委員会の第1委員長に推挙され、着々と権力を引き継いだ。このため、金第1書記はこの1年間、比較的スムーズに権力を掌握することができた。
 特に、張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長と崔竜海(チェ・リョンヘ)軍総政治局長のサポートを受けながら軍を掌握し、今月12日にはロケット発射を成功させるなど、金正恩体制を安定的に運営する基盤を整えた。
 金第1書記は、このような政治的安定を基盤に、来年は経済発展を最優先課題とするものとみられる。
 ロケット発射後、朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は論評を通じ、故金日成(キム・イルソン)主席と故金総書記の時代を「主体100年史」と定め、金正恩時代を「新たな主体100年」と強調した。
 金第1書記としては権力基盤をさらに強化し、住民の心をつかみ国力を高めるためにも経済的成果が必要となる。
 北朝鮮は今年の「新年共同社説」でも2012年を「人民の年」と規定。軽工業と農業を「強盛国家建設の主要部門」だとし、「現在、人民の食糧問題を解決することは、強盛国家建設の焦眉の問題である」と主張した。
 北朝鮮は今年、協同農場と企業に自律性などを認める金第1書記の「6・28方針」により、農村や工場など一部事業所で裁量拡大に基づく試験的な経済管理改善措置を推進したことが分かった。この試験の結果を反映した新たな経済措置が来年発表される可能性が高いというのが専門家の予測だ。
 農業分野では、農民らが収穫した穀物に対し、自由に売買する権利を拡大する措置が取られると予想されており、産業分野では各企業の裁量権拡大を通じて労働意欲を高めるとの見方が有力だ。
 慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチョル教授は「北朝鮮は腐敗を根絶し、企業や協同農場など経済単位別に自律権を拡大する措置を取って行く。特にロケット発射成功に基づく科学的成果を積極的に利用しようとする試みも続くだろう」と見通した。
 また、専門家は羅先特区と開城工業団地などの経済特区を拡大し、外資を誘致するための努力も続けるものとみている。中国とともに推進している黄金坪特区の推進を加速し、中朝国境地域を中心に特区形式の協力が広がるほか、ロシアとの経済協力も強化するものとみられる。
 外資誘致のためには国際社会からの制裁を解除する努力を並行して進められなければならないため、北朝鮮は来年、韓国、米国、日本、中国などの周辺国との外交交渉に積極的に打って出るものとみられる。
 ロケット発射による国連レベルでの対応についての話し合いがまとまり、状況が落ち着けば6カ国協議参加国間の駆け引きが始まるとみられる。
 今回のロケット発射は、米国を射程に収める北朝鮮のミサイル発射能力が証明されたことになり、米朝協議の重要性がさらに高まる。強硬な制裁を行っているにもかかわらず、北朝鮮がミサイル発射能力を向上させているため、オバマ米大統領も北朝鮮との交渉に積極性をみせると予想される。
 ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク上級研究員は「金正恩体制下でのロケット発射は、北朝鮮が米国にとって強力な安保上の脅威であることを示した。米国は制裁を推進しながらも、北朝鮮と対話を通じた解決策を模索する『ツートラック』戦略を駆使せざるを得ない状況だ」と話す。
 その過程で北朝鮮は中国との外交を通じ、米国との駆け引きを展開すると予想される。羅先や黄金坪を中心とした中朝間の経済協力が活発化する中、中国は北朝鮮のロケット発射に懸念を示しながらも国連制裁の話し合いの場では消極的な姿勢を見せた。そのため北朝鮮は中国と米国の間で、外交的利益を最大化する戦略を取る可能性が高い。
 一方、南北関係や日朝関係は不透明な状況だ。
 韓国では今月の大統領選で与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)氏が当選し、金剛山観光中断など現・李明博(イ・ミョンバク)政権で推進してきた対北朝鮮政策を急激に変化させるのは難しい状況だ。朴次期大統領は選挙戦で柔軟な対北朝鮮政策に言及したが、政策を推進するまでには時間がかかるとみられる。
 日本では総選挙で自民党が勝利し安倍晋三総裁率いる右派政権が誕生した。また、石原慎太郎前東京都知事が率いる極右政党、日本維新の会との連立がささやかれ、強硬な対北朝鮮政策を取るとみられる。
 チャン研究員は「北東アジアで各国は選挙という政治プロセスを経て民族主義的な色合いが強まった。過去のように6カ国協議のような多国間協議を通じ北朝鮮問題を話し合うのではなく、米朝や南北、中朝など2国間協議を通じ解決策を協議し、6カ国協議がこれを支える役割を担う可能性が大きい」と述べた。

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