【ソウル聯合ニュース】日本の靖国神社に火炎瓶を投げつけた疑いがある中国人の身柄の扱いを決めるための審理が29日、ソウル高等裁判所で開かれた。男は旧日本軍従軍慰安婦の女性と韓中の国民の尊厳を守るためだったと主張した。
 男は「私の利益のためでなく、日本の軍国主義者の反人倫的な行動に抵抗しようと思った」と話した。祖母は慰安婦にされた被害者で、曽祖父は日本植民地時代に韓国語を教えていたところ、捕まって拷問を受けたという。祖母の体験を聞き、日本に敵意を持つようになったと説明した。
 犯行を決意したのは、昨年12月に李明博(イ・ミョンバク)大統領が訪日し慰安婦問題で謝罪を求めたものの、日本政府が受け入れなかったためだとした。その上で、「もし日本に引き渡されたら、不公正、あるいは大変厳格な裁判を受けることになるだろう。中国で裁判を受けることを願う」と訴えた。
 弁護人は「政治的な犯罪を起こしたものと判断される。政治的な見解を理由に地位が侵害される可能性がある場合に該当するため、(韓国)政府は引き渡しを拒絶すべき」と主張した。
 これに対し検察は、「動機や目的などで政治犯に該当する要件を満たしていない。日本当局は放火罪で処罰しようとするもの」と、引き渡し許可を求めた。
 次の審理は12月6日の予定。
 男は日本政府が慰安婦を初めとする歴史問題の消極的な態度を示していることに怒りを感じたとし、1月にソウルの日本大使館に火炎瓶を投げつけた。韓国で懲役10月を言い渡され、刑に服した。
 男は警察の取調べで昨年12月に靖国神社に火炎瓶を投げ込んだと自供した。日本当局は今年5月、韓日犯罪人引き渡し条約に基づき男の身柄引き渡しを要請した。一方、中国当局は男を政治犯とみなし、自国に送還するよう要請している。
Copyright 2012(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0