【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の公式統計と外部機関の統計にかなりの隔たりがある北朝鮮軍人の規模について、韓国の政府系シンクタンク・韓国開発研究院(KDI)が北朝鮮軍人数を推計した分析結果を発表し関心を集めている。
 KDIは15日に発刊した報告書で、2008年の北朝鮮の人口調査上では軍人数は70万人だが、統計を操作した可能性を考慮すると最大116万人になるとしている。
 北朝鮮軍の規模が関心の対象になったのは、1980年代末に公民登録統計を公開したことがきっかけだった。
 これに対し米国の2人の専門家が公民登録統計に含まれない北朝鮮の人口を推定し、北朝鮮軍は最大125万人になると推計した論文を1992年に発表した。
 しかし、1993年に北朝鮮が初めて発表した人口調査結果は、北朝鮮軍の規模が69万人であることを示唆するものだった。2008年の調査でも軍人の数は70万人とされた。
 韓国国防部は2008年、北朝鮮の軍人数を119万人と推定した。英シンクタンク・国際戦略研究所(IISS)もやはり111万人と推定しており、北朝鮮の発表とは大きな開きがある。
 KDIは2008年の調査で、北朝鮮の総人口が2405万人で軍部隊の居住人口を除いた地域別人口の合計が2335万人であることから、その差である70万人が北朝鮮軍の規模であると推定した。
 ただ、この統計では北朝鮮男性のうち軍人の年代別比率に問題点が多い。16~19歳が19.7%、20~24歳が40.9%、25~29歳が9.7%とされており、北朝鮮の兵役制度や現実の軍隊とは合わない。
 KDI研究員は、「北朝鮮の男性は通常16歳から10年間の兵役に就く。20~24歳の北朝鮮軍の割合が40%を超えているのに、25~29歳で急に10%に減少するのは理解しがたい」という。
 KDIは統計に疑問点が出る原因として三つの可能性を提示した。
 まず、2008年現在、25歳以上の北朝鮮男性がほかの世代に比べ軍隊に招集される割合が異常に低かったという可能性だ。この仮定が合っていれば1990年代以降の食糧難で軍人の招集に困難を極めたことが理由として考えられる。
 2番目に一定の期間以上服務した軍人は、軍部隊に居住しないという可能性だ。この場合、2008年の人口調査で軍人のうち相当数が除外されたと思われる。
 最後の可能性としては、北朝鮮当局が軍人数を過少報告するため2008年の人口調査統計を操作したことが挙げられる。実際、これまでに発表された北朝鮮の統計は疑問を抱かせるものだった。
 同研究員は「どの可能性が正しいかは不明」としながら、2番目か3番目が正しければ実際の北朝鮮軍の規模は人口調査の結果よりもさらに大きいと判断した。
 また、2008年の人口調査で比較的問題がない24歳以下の軍人関連統計が合理的だと仮定し、北朝鮮軍人の服務期間が最低10年である場合、25歳以上の軍人の変化をあらためて推定した。
 その結果、北朝鮮の25~34歳の軍人数は最低43万人、最大56万人と推計された。2008年の人口調査でこの年代の軍人数を9万人と報告されたのに比べ34万~47万人の開きが生まれた。
 同研究員はこの結果は2008年の北朝鮮軍人数を111万~119万人と推定した韓国政府や海外機関の数値と事実上同じであると説明した。その上で「北朝鮮の実際の軍隊の規模が、われわれの推測に近い可能性が北朝鮮の人口統計からも発見できたことを意味する」と話した。

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