【ソウル聯合ニュース】オバマ米大統領の再選が確実となったことで、韓国輸出企業の不確実性はやや減少すると予想される。
 韓国貿易協会と大韓貿易投資振興公社(KOTRA)などによると、オバマ政権の2期目は韓米自由貿易協定(FTA)を通じた両国間の通商協力を続けながらも、自動車など自国の製造産業と雇用を保護するため、保護貿易主義の基調を維持するとみられる。
 ◇韓国の「チャンス要因」は
 オバマ政権の政策的連続性を踏まえれば、韓国輸出企業の不確実性は減少すると予想される。特に建設または代替エネルギー関連企業は対米輸出の好機になると期待される。
 オバマ氏が地球温暖化防止に向けた再生可能・代替エネルギー産業を育成し、エネルギー効率性の拡大政策を続ければ、太陽光や風力など関連産業で韓国企業に肯定的な影響を与える可能性がある。
 オバマ政権は2020年までに原油輸入量を半分に減らし、風力、太陽熱、バイオ燃料など代替エネルギー産業を支援する方針だ。
 そのほか、低公害石炭、原子力、バイオ原料、ハイテクバッテリー、シェールガスなどに対するオバマ政権の低炭素支援事業では韓国企業が参入できる部門が多い。
 米国は9月の米連邦準備制度理事会(FRB)で量的緩和第3弾(QE3)を打ち出してから、景気回復の兆しを見せており、今後、機械・設備および代替エネルギー分野で輸出のチャンスが拡大すると見込まれる。
 オバマ政権はFTAに対し、米国の輸出拡大と海外投資をけん引し、自国の経済成長と雇用創出に寄与すると肯定的な立場を堅持している。
 韓国は世界景気の低迷で輸出が鈍化しているが、対米輸出は3月の韓米FTA発効以降、相対的に善戦している。
 海外企業の米国進出を奨励する「開放型投資政策」を通じ、雇用創出を図るオバマ政権1期目の「海外投資誘致法」が確定すれば、韓国企業の投資促進の礎になるとみられる。
 韓国は米国や多数の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟国とFTAの締結または発効を行った状態であるため、追加のTPP交渉への参加が相対的に容易となる。
 TPP交渉の中身には「米製品の義務調達規定」の適用を禁じるとの内容が含まれており、韓国が今後TPPの加盟国として参加すれば、米調達市場に対する韓国企業の進出が有利になるとみられる。
 ただ、通商専門家たちは、これまでオバマ政権が推進した主な通商政策は続くとみられるが、現在議会で継続審議中の一部の法案などが対米貿易や投資環境に影響を与える可能性があるだけに、継続的なモニタリングが必要だと指摘した。
  ◇「危険要因」も存在
 オバマ大統領が自動車など自国の主要製造産業と雇用保護のため、不公正な慣行を問題視している点に注目する必要がある。
 実際に、オバマ政権が集中支援する自動車と太陽光など再生エネルギー分野で米国と中国間の貿易摩擦が続いている。
 米国は昨年から現在まで中国の米国産自動車・鶏肉反ダンピング(不当廉売)関税、自動車部品メーカー補助金支給などに関連し、世界貿易機関(WTO)に提訴し、さらには太陽光パネルなどに報復関税を課した。 
 オバマ政権が「アジア重視」を掲げながらもアジア市場に対する影響力の拡大を示唆していることから、中国だけでなく韓国もその影響を受けずにはいられない状況だ。
 KOTRAによると、米国においてこの4年間に不公正な貿易慣行を是正するとして韓国を対象にした反ダンピング、相殺関税審議および判定が急増している。
 2011年10月、韓国製冷蔵庫ダンピング予備判定、今年6月の韓国製洗濯機相殺関税予備判定、7月の韓国製変圧器ダンピング最終判定および洗濯機のダンピング予備判定がその代表だ。
 万が一、韓米FTAに対する否定的な世論が拡大すれば韓国製品に対する貿易圧力が高まるきっかけになりかねない。
 FRBの量的緩和により米消費者の心理が一部回復しているものの、ウォン高により韓国製品の輸出に影響が出ていることも懸念材料だ。
 韓国貿易協会は原油価格に関連し、オバマ政権が対イラン武力対応には慎重な姿勢をみせているため、国際原油需給動向を考慮する際、原油高騰の可能性は小さいとみている。
 原油価格が安定すれば韓国企業の輸出入に対するマイナスの影響も制限的なものになると予想される。
 だが、米国の景気浮揚策の失敗やイスラエルのイラン単独攻撃の可能性など原油高を招く要因が引き続き存在することに注意しなければならない。
 ◇米国の業界・専門家の産業別見通しは
 KOTRAはワシントン、シカゴ、ロサンゼルス、シリコンバレーなどの貿易館で現地の業界関係者やコンサルティング専門家らにインタビューを行い、オバマ大統領の再選による各業界への影響をまとめた。
 流通業界のあるバイヤーは、自動車部品業界では中間所得層に対する税制支援、富裕層への増税を通じて景気てこ入れを図るというオバマ大統領の政策が、需要拡大に追い風になると見込んだ。一方、再生可能エネルギーの育成に向けた燃費規制の実施などで、関連部品の製造・開発費用に対する負担は増す見通しだ。
 鉄鋼業界については、米国の建築市場は全般的に低迷しているものの、住宅市場が最近持ち直していることから、来年から鉄鋼消費量が増加を続けるとバイヤーらは分析している。
 だが、米国に進出したある韓国企業関係者は、関税・非関税障壁が依然として存在する上、中国や韓国の製品に対する反ダンピング(不当廉売)調査・提訴も続くと見込んでいる。
 IT(情報技術)関連産業は、米国で「韓国を見習おう」というムードが広がっていることから、今後さらに両国の連携が深まる見通し。
 また、シリコンバレーのIT企業関係者は、韓国が韓流ブームを追い風にコンテンツ産業を発展させており、オバマ大統領も「ネット中立性」の原則に基づき事業者の権利を積極的に保護しているため、韓国のコンテンツ産業は将来有望だと見込んだ。
 機械類は、韓米FTAの発効で貿易が増えると見込まれるなか、米国の対中貿易赤字に対する強硬姿勢が韓国にとって「漁夫の利」になり得る、との見方も出ている。
 繊維については、米国国民の消費心理が持ち直せば、韓米FTAを追い風に衣類の対米輸出が拡大する見通しだ。製薬・医療機器は、「医療保険改革法」がジェネリック医薬品メーカーに好意的なため、ジェネリック医薬品メーカーが大半を占める韓国に有利とみられる。

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