【ソウル聯合ニュース】「韓日関係など東アジア3カ国の関係はガラス細工のようです」――。
 京都大学の山室信一教授(近代法政思想史)は、韓中日3カ国の関係をそう表現した。
 「ガラス細工は作るのに非常に長い時間がかかりますが、壊れるのは一瞬です。ガラスがどんなものか把握し壊さないのが重要です」と強調した。
 韓中国交樹立20周年と日中国交樹立40周年を記念して2~3日、ソウル・延世大学で韓国政府系の東北アジア歴史財団が主催する国際学術会議が開催された。会議出席のため韓国を訪れた山室教授がインタビューに応じた。
 山室教授は同会議で「曼陀羅(まんだら)としての中国-日本から見た視点」をテーマに基調講演を行った。近代以降日本が中国と朝鮮を蔑視し、侵略対象として見るに至ったことについて「距離の苦悩が生んだ憧れと恐怖」という概念で分析した。
 尖閣諸島問題、独島問題は国民感情、「心の問題」を把握しなければ解決はできないと指摘した。
 山室教授は韓国を見つめる日本人の意識世界を説明しながら神功皇后の三韓征伐を例に挙げた。
 「神功皇后が新羅・高句麗・百済の三韓を征伐したという話だが、事実ではなく神話に過ぎません。しかし、三韓征伐神話は日本が近代化する時期に注目を集め日本の韓日併合や植民地支配に影響を与えました。神功皇后は新羅に財宝が多かったため新羅を征伐したものの、征伐後は新羅の人たちを下層の者扱いしたという内容が出てきます。憧れ(財宝)と軽蔑(下層の者)という相反する側面を表しているわけです」と分析した。
 新羅に憧れを抱きつつも恐れ感じ、軽蔑することで恐怖心を治めたということだ。
 また、脱亜論を主張した福澤諭吉も中国や韓国を下に見たわけではなく、大国になることに恐怖心を抱いていたと指摘した。その恐怖感が逆に蔑視へとつながったと主張した。
 現代の日本でも同じ現象が見られるという。
 「中国が大国となり、韓国が日本の大企業を上回る成長を見せていることへの反発として、中国と韓国を蔑視する風潮が強まっています。領土問題をめぐる法的問題が解決しても、心の問題が解決しなければ意味がありません」と主張した。
 山室教授は歴史認識問題と国民感情の問題は簡単に解決するものではないため、長い時間努力が求められると指摘した。また、メディアの役割の重要性を強調しながら「国民の感情をあおるのではなく冷静で迅速に複数の立場から報道すべきです」と話した。

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