【ソウル聯合ニュース】米国のケリー元国務次官補(東アジア・太平洋担当)は24日、ソウル市内で開かれた国際会議で講演し、領土や過去の歴史問題をめぐる北東アジアの対立について懸念を示した。
 ケリー氏は「島の主権問題が武力で解決されれば、北東アジアで戦争の脅威が発生する可能性がある」との考えを示した。「漁業やエネルギー・資源問題は解決が可能だが、島と関連した紛争は数年が経っても解決される可能性は低い」と指摘。「予想できない事件が起こる懸念がある」とした。
 ケリー氏は北東アジア情勢と関連し、「安全保障が不安定になった」と分析。「経済危機が依然として存在し、国家間の関係も昨年より不安定だ。ナショナリズムが東アジアを含め、世界的に台頭している」と説明した。
 韓国については、「多くのことを成し遂げ、誇れることが多いのはいい」としながらも、ナショナリズムの台頭を警戒するよう呼びかけた。日本に対しては、「長期間、ナショナリズム的な感情は見られなかったが、(最近こうした感情が)高まっている。政治指導者らも賛同する動きがある。総選挙を控えているが、保守勢力に対する大衆の関心はほとんどない」と分析した。
 北朝鮮に関しては、「新しい指導者(の登場)とともに、多くの質問が出ているが、説明できる答えはない」と述べた。
 一方、会議に出席した中国・清華大学の楚樹竜教授は「米国のアジア回帰は軍事力に依存しており、建設的ではない」と批判した。日本に対しても、「近代化・先進化されているが、国民性については前近代的な考え方を持っている。周辺国との領土紛争をみれば分かる」とけん制した。
 内閣官房参与を務めた防衛大学の山口昇教授は、日本は歴史を直視せず極左か極右に走る傾向があると指摘。問題解決には2~3世代の時間がかかるとの見通しを示した。

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