【ソウル聯合ニュース】北朝鮮脱出住民(脱北者)を装って韓国に潜入し、活動していた北朝鮮国家安全保衛部所属の工作員が逮捕された。同工作員は故金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男、正男(ジョンナム)氏に対するテロ指令も受けたという。
 ソウル地検と国家情報院は9日、中国で脱北者情報の収集など工作活動を行い、脱北者として韓国に潜入し工作活動を行ったとして、北朝鮮の工作員を逮捕・起訴したことを明らかにした。
 検察によると、工作員は長期間、中国に滞在しながら脱北者の情報調査、北朝鮮への送還、脱北者の支援組織・人物動向調査、脱北ルート把握などの工作活動を行い、その成果を認められ軍士称号と賞勲を授与された。
 特に、中国で活動していた当時に上層部から「金正男にテロを加えるように」との指令を受けたという。工作員は2010年7月ごろ、具体的なテロ計画を立てて待機したが、正男氏が中国に入国せず、実行できなかったと確認された。
 工作員は今年3月に長期滞在していた中国から第3国経由で韓国に潜入した。韓国では脱北者支援団体の幹部に接近するよう指令を受けたという。
 当初、入国後の調査で関係当局に対し生活苦で脱北したと主張したが、中国での足取りや疑問点を集中して追及されると工作員であることを自白し、入国の目的などを話した。
 2000年代初めごろ、北朝鮮国家安全保衛部の工作員に選抜された後、6か月にわたり中国で韓国語、中国語、工作要領などの教育を受け朝鮮労働党に入党した。
 北朝鮮国家安全保衛部は国防委員会に属する最高情報捜査機関であり北朝鮮の体制および労働党の支配を支える代表的な社会統制・公安機関だ。
 今回のように脱北者を装った工作員が韓国に潜入したケースは昨年6月に保衛司令部工作員、同年12月に女性工作員が逮捕されるなど、最近増加している。
 これは精鋭工作員を養成し潜入させる今までのやり方から、多様な階層から工作員を選び脱北者を装い潜入させていることに起因するという。検察は、成功の可能性を高め、検挙されたとしても組織実態が暴かれるリスクを最小限にしようという意図によるものだと説明した。

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