北朝鮮を描いたドキュメンタリー映画「ディア・ピョンヤン」(2006年)と「愛しきソナ」(2011年)で知られる在日コリアンの梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督が劇映画デビュー作「かぞくのくに」で釜山国際映画祭に出席した。
2作品のドキュメンタリーを通じ、困窮している北朝鮮住民の生活を描いたとして、北朝鮮当局から入国禁止処分を受けた梁監督は今作でも個人の生活を統制する北朝鮮社会に冷ややかな視線を送る。
梁監督は6日、釜山市内のホテルで開かれた記者会見で、北朝鮮に残っている家族が心配ではないかという質問に対し、「毎日心配していますが、映画は作り続けます」と答えた。
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同作品は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)で働いた両親のもとに生まれ、幼いころ北朝鮮に送られた息子が脳腫瘍の治療のため、日本を訪れるシーンで始まる。息子には北朝鮮から派遣された監視員が付き、24時間見張っている。病気にかかった息子を返したくない親と妹の切実な感情が描かれる。
20年ぶりに行われた家族の再会とすぐに別れなければならない悲しさを表現するが、涙はあまり登場しない。新派劇の要素は排除し、ドキュメンタリーのように淡々とストーリーを進める。その演出力は好評を博し、第85回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作に選ばれた。
梁監督は出演俳優に感謝の気持ちを伝えた。俳優の井浦新と女優の安藤サクラが兄妹を演じ、映画「息もできない」のヤン・イクチュン監督が監視員役を務めた。「俳優に指示は一切出さず、私が経験した心情について詳しく説明し、演技は任せました。俳優たちが本当によくやってくれました」と話す。
安藤サクラは脚本を読む前に「ディア・ピョンヤン」を見て、出演を決めたという。梁監督は北朝鮮の物語のため、断られることを心配したが、安藤は「そんなことはまったく考えなかったです」という。井浦新は「監督の人生をもっと肌で感じたくて映画に参加しました」と振り返った。
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