【ソウル聯合ニュース】経済協力開発機構(OECD)は26日、韓国経済に関する報告書を公表した。韓国は世界経済危機の再発にも対応できる政策余力があるとの楽観的な見方を示す一方で、福祉支出が急速に拡大していることを懸念した。また、経済成長だけでは所得不均衡の緩和に限界があると指摘し、社会統合に向けた政策を求めた。
◇均衡財政と金利正常化促す
 OECDは、韓国の景気拡張の勢いが2013年まで続くとしながらも、高齢化の進行と南北統一を念頭に、国の債務を引き下げることが重要な課題と指摘した。リスク要因として、欧州財政危機と開発途上国の成長鈍化、原油高など海外環境の変数と、韓国の家計債務を挙げた。
 また、欧州財政危機が緩和されれば、韓国の輸出が拡大し成長が早まると見込んだ。韓国の経済成長率見通しを今年3.5%、来年4.3%と提示。物価を2~4%程度で安定させるには、現在の足踏み状態から抜け出した後、通貨引き締めを再開すべきと注文した。
 外国為替政策については、柔軟な為替政策を維持しながらも、為替変動リスクがあるため外貨準備高が増えすぎないよう注意を喚起した。
◇労働市場改革の必要あり
 長期的には高齢化が韓国の潜在成長率の妨げになると懸念している。OECD加盟国で最も低水準にとどまる女性の労働市場参加率を引き上げることが重要な課題だとし、家庭との両立を可能にする勤務環境づくりを求めた。
 2017年以降は生産年齢人口の減少が予想されることから、青年層の労働市場参加率も上げるため、職業訓練と高卒者の就職の機会を提供するよう忠告した。
 一方、正規雇用の解雇が難しく、代わりに賃金の低い非正規雇用が増えている現象を批判。正規雇用の保護水準の引き下げと、非正規雇用に対する社会保障範囲の拡大を求めた。定年制度の段階的な廃止と、高齢者の雇用期間の延長案も提示した。
 サービス産業の生産性が製造業の半分以下にとどまる点も指摘。サービス市場の競争を促進し、企業環境を整えることで外国人投資を促すよう助言した。
 中小企業への過度な公的支援は、むしろ競争力を低下させるとの見解を示した。
◇教育改革・社会統合が急務
 私教育の依存度が高く大学授業料が高ければ 教育の衡平性に問題が生じると警告した。低所得層に対し幼児教育と保育支援を拡大し、放課後の子ども向けプログラムを充実させるよう勧めた。高等教育においては大学の認証制度改善、産学研の連携強化、国際化を通じた質の向上を提言した。
 また、グローバル化と技術進歩の中、成長だけでは社会的な不均衡を緩和できないと指摘した。韓国は通貨危機後、不均衡が深まる傾向にある。公共社会支出の割合もOECD平均を大きく下回っている。報告書は「新たな福祉制度の導入には慎重な姿勢であたり、必要な対象を中心にした適切な福祉支出が必要」と述べた。
 高齢化と高齢者の貧困問題については、基礎老齢年金の対象を低所得層に縮小し、支援水準は広げるよう指摘。社会保障を手厚くしながらも、これによる支出が財政健全性を損なうことがないよう、慎重なアプローチを求めた。

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