フルート演奏する野村牧師=13日、ソウル(聯合ニュース)
フルート演奏する野村牧師=13日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】「わたしがあと何年生きられるか分からないので、今回が最後だという思いで演奏した。日本の侵略がなければ、『鳳仙花』という曲は誕生しなかっただろう。特に元慰安婦の被害者にとっては大きな意味のある曲だ」--。
 13日午前10時半すぎ、一人の高齢の日本人男性がフルートケースを手にソウルの在韓日本大使館前の「平和の碑」(慰安婦の少女像)を訪れた。
 男性は、山梨県にあるベタニヤ教会の野村基之牧師(81)。平和の碑の前に立った同氏は、しばし黙とうを捧げた後、楽譜を広げてフルートを取り出し、洪蘭坡(ホン・ナンパ)作曲の「鳳仙花」を演奏した。日本植民地時代に作られた同曲には、日本の支配への抵抗と韓国人の独立への願いが込められている。
 2~3分の演奏を終えた野村牧師の視線は、再び平和の碑に注がれた。ハンカチを取り出し口を覆い、むせび泣いていたかと思うと、平和の碑の前でひざを折った。やがて、なんとか気持ちを落ち着けた野村牧師は、平和の碑にバラ1輪を供え「鎮魂歌」と「われらの願い」を演奏した。
 演奏を終えた同氏は、通訳を介し「わたしは5歳のときから(日本人が)韓国人を『朝鮮人』と呼んで無視するのを見て心を痛めてきた。75年間感じてきた韓国人に対するそうした思いを、演奏に込めた」と説明した。
 また、慰安婦問題を象徴する平和の碑の前で演奏したことについて「日本人として当然のことをしている。これ(慰安婦問題)は国際的にデリケートな問題だ。今回のことで、日本大使館のブラックリストに載るかもしれないが、すべて覚悟している」と話した。
 野村牧師は、12日に慶尚南道統営市で営まれた貧民運動家の故・諸廷丘(チェ・ジョング)元国会議員(1999年2月死去)の追悼式に出席するため、10日に来韓した。野村牧師は1970年代初めから80年代半ばまで、諸元議員らと共に清渓川や京畿道華城市などで貧民救済活動を行った。

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