【ソウル聯合ニュース】韓国経済に対する海外の投資銀行の極端な悲観論が次第に和らいでいる。世界経済を揺るがしている欧州や米国の状況が予想ほど悪くないとの期待からだ。ただ、韓国の実体経済の指標はいまだ低調で、こうした見方が実体経済のプラスにつながるかは未知数だ。
 韓国の国際金融センターは9日、投資銀行大手の米ゴールドマン・サックスが韓国銀行(中央銀行)による今年の政策金利について、50ベーシスポイント(bp)引き下げから据え置きへと、見通しを転換したことを明らかにした。世界経済の成長モメンタムと欧州の財政状況改善のシグナルをその理由に挙げた。韓国経済の懸念要因と指摘されている個人負債問題もソフトランディングが可能と観測している。
 JPモルガンは韓国株式市場のプラス要素として、輸出企業の競争力強化と不動産市場の回復を挙げた。HSBCは、韓国の1月の輸出が減少し景気てこ入れの必要性が増しているにもかかわらず、海外の状況を肯定的と判断し韓国の政策金利引き下げの可能性は小さいとした。おおむね楽観的な見方に移りつつある。
 実際に世界金融市場の流れを見ると、欧州財政危機に対する懸念が多少弱まり、米国でも実体経済で一部改善の兆しが見られる。また、韓国経済の変数として最近浮上した対イラン制裁問題は、緊張がやや緩和される雰囲気で、韓国の原油輸入代替先についても、オマーンに続きサウジアラビアからも非常時の原油供給支援の約束を取り付けることができた。
 LG経済研究院の申ミン栄(シン・ミンヨン)経済研究室長は「金融面を見ると、昨年10~12月期に悲観的な意見ばかりだったのに比べ、部分的に改善の可能性を読み取る意見がある」と話した。
 しかし、不透明感は依然として強い。世界経済の回復をリードしてきた新興国経済の見通しが暗く、特に中国経済に対する懸念が増しているため。欧州支援に向けた国際通貨基金(IMF)の財源拡大策が今月まとまるかも定かではない。
 韓国の内需と消費状況も明るくはない。昨年10~12月期の民間消費は前期比0.4%減少し、2009年1~3月期以降では初めてマイナスに転じるなど、実体経済の冷え込みに変化がない。サムスン経済研究所の権純?(クォン・スンウ)マクロ経済室長は、海外の一部の投資銀行が韓国の政策金利据え置きの可能性に重きを置いているのは、韓国の実体経済が停滞局面から上昇に転じたためというよりは、インフレ期待など韓国の物価上昇圧力が高いためと分析した。
 企画財政部も経済動向報告書(グリーンブック)2月号で、雇用改善にもかかわらず、インフレ期待が続き、鉱工業生産や消費などの実体経済の指標は伸び悩むと判断した。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)面でいまだ不確実性が高いという。韓国政府は今年1~3月期に景気が底打ちすると観測している。

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