【ソウル聯合ニュース】韓国でベンチャー起業が減少している。博士号取得者など、高い技術を持つ人材による起業も減りつつある。背景には国内外の経済不安や安定した仕事を求める風潮がある。
 ベンチャー企業協会などによると、2011年12月末時点のベンチャー企業数は2万6148社で、過去最多だった。
 しかし、起業は急速に低下している。2011年1~4月は2351社が増えたのに対し、5~12月は848社が減った。2011年通年では前年比6.10%増にとどまり、2004年(3.44%)以降の低水準となった。リーマンショックを受けた2007年と2008年を除くと、ベンチャー企業数の伸び率は20%以上で推移していた。
 修士・博士号取得者の起業も徐々に減っている。ベンチャー企業協会が2011年5~7月、約2000社を対象にアンケートを行った結果、博士号取得者が代表取締役を務めている企業の割合は2009年の13.0%から2011年は9.4%に落ちた。修士号取得者は同期間、18.7%から18.2%となった。
 高度人材の減少は技術力低下につながっている。主力製品に国内独自技術を採用しているベンチャー企業の割合は2009年の17.9%から2011年は12.7%に低下した。世界唯一の技術を保有している企業も同期間6.7%から4.2%に減った。
 技術だけでは融資が難しく、中堅ベンチャー企業への支援制度がないのがベンチャー起業と成長を妨げている。
 店頭株式市場コスダックへの上場も低下している。ベンチャー企業2万6148社のうち、コスダックに上場している企業は303社で、0.12%にすぎない。新規上場は2007年の52社から2011年は31社に減った。
 韓国科学技術院(KAIST)のペ鍾太(ぺ・ジョンテ)教授は「ベンチャー企業の数より、ベンチャー企業の質が落ちているのが問題」と話す。失敗のリスクを避けるため、既存事業に参入する場合が多く、競争力のあるアイディアをサポートする社会の仕組みを作る必要があると指摘した。
 ベンチャー企業協会関係者は安定的な就職を好む傾向があるため、起業が減っていると説明。ベンチャーを活性化させるためには起業家精神を鼓舞する必要があると強調した。また、ベンチャー企業の人材を大企業に引き抜かれることなども問題点として指摘した。

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