【ソウル聯合ニュース】韓国の経済研究機関は中国との自由貿易協定(FTA)による農業の被害額について、韓米FTAの最大5倍に達するとの見通しを示した。専門家らは敏感な品目は関税撤廃の対象から除外するなどの配慮が求められると提言している。
 政府系シンクタンク、対外経済政策研究院(KIEP)は韓中FTA締結で農水産業の生産が2005年と比べ14.26%減る懸念があると分析した。コメを除く全品目の関税を撤廃すると仮定した場合、2020年の農業生産額は最大で約20%まで減少するという。
 韓国の2005年の農業生産額は16兆8000億ウォン(約1兆1148億円)。最大で3兆3600億ウォン減少する計算となる。韓国政府がまとめた米国とのFTAによる農業被害額8150億ウォンの4倍に上る。
 サムスン経済研究所(SERI)は韓中FTAにより、中国農産物の輸入は104.8~209.2%増加し、対中輸出の増加率48.3~100.0%を大きく上回ると予測した。農産物生産額は1.2%減、水産物は0.4%減になるという。
 韓国農村経済研究院(KREI)は全品目で関税を50%引き下げる方向で韓中FTAを締結すると、農業部門で計2兆7722億ウォンの所得が減少すると分析した。韓米FTAによる被害額の3.4倍に達する。同院関係者によると、中国は農産物の生産構造や栽培品種が韓国と似ており、韓中FTAの影響は韓米FTAの3~5倍になると予想した。
 李明博(イ・ミョンバク)大統領は胡錦濤・中国国家主席と9日に首脳会談を行い、韓中FTA交渉入りに必要な国内手続きを1~2か月以内に終えるとした。
 専門家らは韓中FTA交渉が急進展する可能性が出てきた以上、農産物の被害規模を正確に算定し、早急かつ綿密な対策を講じる必要があると指摘する。

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