【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者、金正恩(キム・ジョンウン)氏が自身の生母、高英姫(コ・ヨンヒ)氏に言及した発言が北朝鮮のテレビで公開され、注目を集めている。
 北朝鮮の朝鮮中央テレビは8日、正恩氏を偶像化する記録映画を放映し、正恩氏が「(金総書記の誕生日の)2月26日にも現地指導に赴き帰ってこない将軍様(金総書記)を母ともに夜が明けるまで待ったこともあった」と明かしたと伝えた。
 北朝鮮が公式メディアを通じ、正恩氏の生母に言及したのは今回が初めて。金総書記に対する忠誠心と孝行心を示し、生母である高氏の夫に対する忠誠にまで言及したものとみられる。
 これまで北朝鮮は正恩氏が2010年の党代表者会で後継者として公式に登場して以来、高氏に対し一度も公式に言及しなかった。金総書記の後継者時代に金総書記の生母である金正淑(キム・ジョンスク)氏を大々的に偶像化したのとは対照的だ。
 北朝鮮当局が高氏の偶像化を避けてきたのは、高氏が在日朝鮮人だったためとみられている。
 金総書記の3番目の夫人だった高氏は1953年に日本で生まれ、1960年代初めに在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮に渡り、万寿台芸術団の舞踊家として活動した。1970年代半ばに金総書記と同棲を始め、2004年に乳がんで死去するまで金総書記とともに暮らし、ファーストレディーの地位を固めていた。
 結婚式は挙げておらず、2人の息子である正哲(ジョンチョル)氏と正恩氏、娘の汝貞(ヨジョン)氏を生んだ。
 北朝鮮脱出住民(脱北者)らによると、北朝鮮は2002年ごろ、人民保安部(当時の人民保安省)と女性同盟から始まった高氏の偶像化運動を全国的に拡大しようとしたが、金総書記の指示で中断した。
 その後、高氏が死去し、正恩氏が最高指導者となった現在まで北朝鮮当局は高氏について公式に言及しなかった。
 脱北者で世界北韓研究センター所長の安燦一(アン・チャンイル)氏は9日、「正恩氏が最高指導者となったからには生母に言及せざるを得ない」として、「今回の正恩氏の発言は高氏偶像化の合図といえる」と分析した。

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