【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の政策基調を国内外に表明する「新年共同社説」が1日に発表された。これを見た韓国の専門家の多くが、北朝鮮が金正日(キム・ジョンイル)総書記の路線を継承する「遺訓統治」を行うと見ている。冷却した南北関係では、積極的な行動は取らないが、韓国の総選挙(4月)、大統領選挙(12月)を意識した政策を展開するとの意見が出た。同社説では米国と核問題に対する言及は一切なかったが、5年ぶりに在韓米軍の撤退を主張した。さまざまな思惑がありそうだ。

 ▼東国大学北朝鮮学科の高有煥(コ・ユファン)教授

 例年と大きな違いはないが、今年は「遺訓統治」とともに、金正恩の指導と唯一指導体制を強調した。昨年は朝鮮労働党が団結の中心にならないといけないと強調していたが、今年は金正恩体制が統治すると宣言している。
 「強盛大国」の代わりに、「強盛国家」や「強盛復興」という表現を使ったのは、国内の期待が低いことの表れだとみる。大国を使わなかったのは、中国との関係などを考え、遠慮したのだろう。南北関係については、関係改善に期待を持っていないということをあらためて示している。韓国との対立を基調に内部統制を強化し、韓国の選挙のときに活用しようとする意図がみえる。
 
 ▼高麗大学北朝鮮学科の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授

 目新しい内容よりも、(社説は)金正日の遺訓の貫徹を目的に置いたものだ。だから、これまでの政策からは大きく離れない。2000年と2007年の南北共同宣言に言及したことは、韓国の総選挙と大統領選挙を念頭に置いてのことだろう。在韓米軍の撤退が久々に登場したが、特に意味はないと思う。南北関係や対外関係で攻撃的に出るよりも、まずは体制の安定に力を入れると思う。

 ▼北韓大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授

 昨年との違いは「人民の年」と位置づけたことだ。「強盛大国」から「強盛国家」にトーンが下がったのは、経済面での実績が少ないという現実を認めたからだろう。
 韓国が政府として弔問団を送らなかったことは、韓国を圧迫するカードになり得る。在韓米軍の撤退を持ち出したことは、韓国内での対立や韓米関係の悪化を狙ってのものだろう。今後、米朝対話や6カ国協議で材料にする意図が隠されていると見ている。

 ▼ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク選任研究員

 特に驚くような内容はなかった。住民の生活向上を第一課題に挙げたことから、金正恩も民心を重要と判断していることがうかがえる。「強盛大国」が「強盛復興」などになったことは、住民の生活をはじめとする経済問題に重点を置いているということだ。
 対韓国政策については、韓国の2大選挙はもちろん政権交代後のための雰囲気づくりも見据えているようだ。
 中国、ロシアとの関係に触れたのは、両国の資本を誘致すると同時に限定的な改革開放政策につなげるのだろう。米国と核問題に触れなかったのは、米朝関係の障害をつくらないという意思表明ではないだろうか。

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