【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が1日に発表した「新年共同社説」では金正日(キム・ジョンイル)総書記の後継者、正恩(ジョンウン)氏を唯一の指導者として忠誠を強調した。また、5年ぶりに在韓米軍の撤退に言及し、金総書記に対する弔問団の訪朝を制限している韓国政府を非難した。
 社説は、「党と人民の最高領導者、金正恩同志は先軍朝鮮の勝利と栄光の旗」として、全党、全軍、全人民が命をかけて擁護しなければならないと力説した。
 北朝鮮が新年共同社説で正恩氏の指導体制を力説するのは、後継に向けた作業が始まってから3年に満たない正恩氏の基盤が不安定との判断によるものとみられる。
 また、在韓米軍について、「朝鮮半島の平和保障の基本的な障害になっている米帝国主義の侵略軍を南朝鮮(韓国)から撤退させなければならない」として、2007年の共同社説以来、5年ぶりに在韓米軍撤退を主張した。
 一方、対外関係では米国に対する言及はなかった。昨年の金総書記の中ロ訪問を強調し、今年は中朝、ロ朝関係を強化する方針を示した。
 南北関係については、「民族の大局観を無視し、弔意の表明を各方面から妨害する南朝鮮逆賊どもの人倫にもとる反民族的行為は憤怒と糾弾を呼び起こした」と韓国政府を非難した。
 経済に関しては、「党の強盛復興戦略の貫徹に向け総突撃戦を展開する」として、軽工業と農業部門に注力すると強調した。ただ、北朝鮮は今年を「強盛大国元年」と位置づけているにもかかわらず、共同社説ではこれといった経済発展ビジョンを示せなかった。
 また、昨年初頭から使われてきた「強盛大国」が「強盛国家」という表現にトーンダウンしたのは、経済部門の成果が当初の目標値を達成できなかったためとみられる。
 「新年共同社説」は今年の政策基調を国内外に向け表明するもの。毎年1月1日に朝鮮労働党機関紙「労働新聞」(党報)、人民武力部機関紙「朝鮮人民軍」(軍報)、金日成社会主義青年同盟機関紙「青年前衛」(青年報)の3紙に同じ内容の社説を掲載する。

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