金守珍代表=28日、ソウル(聯合ニュース)
金守珍代表=28日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル28日聯合ニュース】「韓日併合100年を振り返ってみたいと思います。わたしたちの社会が良くなったのか…。韓国と日本の境界にある在日同胞の姿をみれば分かるのではないでしょうか」――。
 在日韓国人演出家で、日本の劇団「新宿梁山泊」を率いる金守珍(キム・スジン)代表が28日、3月にソウルで行う来韓公演について語った。3月2~6日は蓮池洞の斗山アートセンターで「TORAJI」を、同9~13日は世宗文化会館で「向日葵の柩」を上演する。
 「TORAJI」は、朝鮮時代末期の若き改革家、金玉均(キム・オクキュン)と洪鍾宇(ホン・ジョンウ)の波瀾(はらん)万丈な人生を表現主義方式で描いた作品で、1994年に呉泰錫(オ・テソク)演劇祭で初演された。
 金代表は「これまで金玉均は売国奴で親日派と評価されてきました。演劇では、観点によって真実というものが常に変わり、これを通じ観客に未来について考えてもらえるようにしようと思います」と、作品について語った。
 新宿梁山泊がこれまで来韓公演を行った回数は10回を超える。今回の公演のため30人余りの俳優が韓国を訪れた。
 金代表は、「TORAJI」の日本公演では観客の反応が非常に良かったが、来韓公演の雰囲気はどういうものになるか期待している。ただ、観客がせりふの字幕を読まなければならないため、俳優の演技を楽しむことができない点はストレスだという。
 一方、「向日葵の柩」は、在日韓国人の芥川賞作家、柳美里の1991年の戯曲。母国語の韓国語を忘れて生きていた在日韓国人の青年が、韓国人女子学生と出会ったことで韓国語に関する記憶を取り戻していくが、アイデンティティーの崩壊のなかで破局を迎える姿を幻想的に描く。「韓国では在日同胞の姿をよく知らない人が多い」と話す金代表は、「在日同胞の現実を理解し、知ってもらえるとうれしい」と強調した。
 金代表は自身の作品について、日本ではアンダーグラウンド演劇として評価されていると紹介した。新宿梁山泊の常連の観客は3000人余りだという。日本で20年以上にわたり劇団を率いてきたが、「在日の文化は韓日両国によって培われた。これからも日本に帰化せずに活動を続けたい」と笑顔を見せた。

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