清水ハン栄治さん=(聯合ニュース)
清水ハン栄治さん=(聯合ニュース)
【ソウル9日聯合ニュース】在日韓国人(父方からは2世、母方では4世)の清水ハン栄治さん(40)。ドキュメンタリー映画や人権、平和をテーマにしたアニメや漫画をプロデュースしている。
 大学、大学院を米国で卒業(修了)、5年前までは日本で一流企業に勤めていたが退社し、メディア企業「エモーショナル・コンテンツ」を立ち上げた。ダライ・ラマ、マザー・テレサ、チェ・ゲバラ、マハトマ・ガンジーなど世界的人物の一代記を描いた漫画を出版し、それら作品は10カ国語で出版されている。ネパールやチベットの学校では、清水さんの漫画本を教科書にしているという。
 清水さんは現在、北朝鮮の強制収容所の現状を訴えるアニメ映画の制作を手がけている。8日に電話と電子メールで話を聞いた。以下は一問一答。

――北朝鮮の収容所を描く作品を作るに至った動機は。
「自分が韓国系だということと、収容所映画を制作することは無関係だが、日本で韓国系として生まれ育った経験が、不義に対する自分の価値観に大きく影響したと思う。北朝鮮の人権の実態は21世紀最悪の状況に置かれており、人権問題に関心がある人や何かしている人ならば誰でも、北朝鮮の人権問題解決のため何でもしようとする。北朝鮮住民の人権運動団体などが制作したビデオを見れば、その実態を知ることができる」

――映画の内容は。
「仮タイトルは『North』とした。1960年代に北朝鮮に帰還した在日の家族が自分たちの人生と財産を『偉大な祖国』建設のためにささげたにもかかわらず、耀徳収容所(北朝鮮の政治犯収容所)に送られた話だ」

――以前から南北分断など朝鮮半島問題に関心があったのか。
「朝鮮半島問題に関しては、誰が正しいかという政治的論争に巻き込まれるつもりはなく、知識も限られたものしかない。しかし、北朝鮮で苦しめられている住民たちを保護するため、何でもやらなければならないと思っている。そのために北朝鮮人権問題を告発する映画を制作しようとしている」

――人権問題に関心を持つようになったのは。
「人権を守るという言葉は、時に誤解を招く。なぜなら、そういうことは非政府組織(NGO)で働く一部の善良な人、政治的にそういうことをすべき人や団体の仕事だと思われているからだ。わたしたちのように自由を享受している人は、享受できない人たちを助けるために何かをする義務があると考えている」

――北朝鮮の収容所を描いた映画が、北朝鮮住民の苦痛を軽減できるか。
「かつての仕事で得た経験から、政治的問題に人間の顔を映せば、大衆の心を動かしメッセージを伝えるうえで大変効果的だということを知った。そうしたアプローチは効果的になり得る。漫画のように大衆が接しやすいメディアを活用すれば、北朝鮮と言えば拉致と核しか知らない人たちに、北朝鮮住民の人権の実態を広く知ってもらうことができる」

――投資者を探しているそうだが。
「寄付やパートナーシップ、第三者の投資など、どれも歓迎している。映画のようなアニメーションを作るにはかなりの資金が必要だ。まずはパイロット・プロジェクトとして簡単な映像を制作し、資金調達に乗り出す予定だ」

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