【ソウル28日聯合ニュース】19世紀にフランスが持ち出した王室関係記録・外奎章閣図書が、ソウルで来月開催される20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)を機に韓国に戻ってくるかが関心を集めている。
 外奎章閣は、朝鮮時代に王室関連の文書・図書を保管していた図書館。フランス艦隊が江華島を侵略した丙寅洋擾(1866年)の際、蔵書の一部がフランスに持ち去られた。現在、韓国とフランス政府間の実務交渉が進行中で、先ごろ韓国政府の当局者も楽観的な見方を示したことから、いつになく返還への期待が高まっている。
 外交通商部の金星煥(キム・ソンファン)長官は27日の会見で、サルコジ大統領が訪韓するG20サミットの際に受け取れるよう、協議を進めていると説明した。
 駐仏韓国大使館の朴興信(パク・フンシン)大使も先日、G20サミットの前にフランス国内法が許す限度内で解決するとの目標で交渉に臨んでいると明らかにしていた。
 両国政府は先ごろ、フランスが韓国に外奎章閣図書を貸与する代わりに、韓国文化財をフランスに一定期間展示するという案に共感したとされる。これは、図書返還の代わりに同水準の価値を持った文化財を受け取る「相互貸与」にこだわっていたフランスが、やや譲歩したことを意味する。
 フランス政府の態度変化は、1993年に両国首脳が「相互交流と貸与」原則に合意してから17年間続いた外奎章閣図書の返還問題を解決せずには、韓国との関係発展が見込めないと判断したためとみられる。フランスは国際的地位が高まった韓国との関係発展を望んでいるほか、来年のG20サミット開催国として韓国の協調を必要としているとの観測だ。
 両国がG20サミットを機に返還交渉を妥結する場合、韓国の求めた「永久貸与」ではなく、貸与期間を継続して更新するという形になる公算が大きい。フランス政府は国内法上、「永久貸与」は不可能だと難色を表明しているためだ。
 韓国政府も、特に問題がなければ3年ごとに貸与期間を自動延長する方式を検討しているという。
 ただ、両国政府が自国の世論の反発をいかに説得するかは依然課題として残っている。韓国政府は「なぜ持ち去られた文化財を正当に返還してもらえないのか」と批判を続ける文化界関係者らに対し、貸与は返還と同じ効果があると説得しているが、同意を得られていない。フランス内でも、貸与形式とはいえ、返還することに批判的な意見があるのが実情だ。
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