【慶州23日聯合ニュース】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で23日に発表された共同声明は、予想を超える成果を盛り込んでいたと評価される。
 金融規制などの主要議題が実を結んだ上、最大の争点だった「通貨安競争」をある程度封じられる表現が記載されたほか、国際通貨基金(IMF)の発言権に連動する出資比率の改革議論も進展をみた。これにより、世界の金融秩序再編はもちろん、経済権力の移動が流れに乗る見通しだ。
 為替をめぐる対立は、経常収支の目標制導入方針、市場原理に基づく為替制度への移行など進んだ内容に合意したことで、収束に近づいたとみられる。来月11~12日にソウルで開かれるG20首脳会合(金融サミット)の成功に青信号がともったものと評価される。
▼通貨安競争とIMF出資比率争いの渦中での「大取引」
 最大の成果は、各国が鋭く対立していた為替議題だ。為替問題はこれまで、輸出の拡大に向け自国の通貨を安値に誘導する「通貨安競争」により、米中を中心に日本、ブラジル、欧州までが加勢し、泥沼の戦いの様相をみせていた。
 合意の中核としては、中国を狙い市場原理に基づく為替制度への移行を明記したこと、競争的な通貨切り下げの自制を促したことが挙げられる。
 また、各国の経常収支の黒字幅・赤字幅を国内総生産(GDP)比で一定比率で維持するとの方針は、新しい内容だ。G20が議論している「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」の中核課題となる、経常収支の黒字国、赤字国問題を解決する方式に、為替を絡めたものと解釈される。
 こうしたことから、「譲歩」に重きが置かれた中国の選択に注目が集まっている。
 その背景には、IMF出資比率改革がある。出資比率の移転を極度に避けていた先進国が、新興国・途上国に移転する出資比率を従来の5%以上から6%以上に引き上げたことは、中国をはじめとする新興国への譲歩と解釈されるためだ。
 これは、世界経済権力の移動を意味するIMF出資比率改革と為替をめぐり、先進国と中国を中心とする新興国・途上国の間で「ビッグ・ディール(大取引)」が成立したことを示唆している。実際に、欧州は理事会議席9席のうち2席を放棄することで合意し、BRICs(ブラジルやロシア、インド、中国)がIMFの株主上位10位に入る可能性が高まった。
▼新金融規制の最終案に合意、金融セーフティーネットも進展
 金融規制に関しては、19~20日にソウルで開かれたバーゼル銀行監督委員会(BCBS)会議と金融安定理事会(FSB)総会の合意事項をそのまま追認した。G20サミット開催の発端となった、2008年9月のリーマン・ブラザーズ破たんに対する再発防止策に終止符が打たれた形だ。中核は、危機に備えた資本の量と質を引き上げる銀行の新しい自己資本規制、「バーゼル3」だ。
 韓国が主導する「コリア・イニシアチブ」のうち、国際金融セーフティーネット(流動性問題による危機防止策)の議論も進展をみたと評価される。IMFによる融資制度の改善という1段階措置を歓迎し、2段階としてシステム的な危機の波及を防ぐ安全装置の整備に向けた努力も続けるとしているためだ。
 開発議題でも行動計画の作成に合意し、より具体化された。
▼G20ソウル・サミットに青信号、為替の火種は消えるか
 慶州の会議で期待以上の合意に成功し、G20ソウル・サミットの見通しはひとまず明るくなった。今回の合意が出る前は、為替の壁に突き当たり、他の議題の成果にも悪影響が出るとの見方が大半を占めていた。
 今回の為替に関する合意について政府当局者は、「これまでの為替論争に終止符を打つもの」だと評価している。ただ、GDPの4%と取り沙汰されていた経常収支の黒字・赤字幅の目標値は明記されず、履行の保障も容易でないことから、実際の効果は断言し難い。
 G20ソウル・サミットでは、より進んだ案が出る可能性もある。世界経済の中長期における均衡成長枠組みの推進に向けたアクションプランに合意する見通しのため、為替に関するより詳細な解法が示されることもあり得ると、専門家らは説明する。今回は外された経常収支の黒字・赤字幅のGDP比目標値が明記される可能性も外せない。
 その場合、来年の世界経済だけでなく、韓国経済にとって最大の不確実性が提起されることになる。ただ、韓国としては中長期的に人民元が切り上げられればウォンも上昇するとみられ、輸出競争力が低下するとの懸念が少なくない。また、各国がIMF出資比率の獲得に動くなか、韓国が低評価されないよう努めるべきだとの指摘もある。
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