ソウル市内の病院で営まれた黄長ヨプ元朝鮮労働党書記の告別式=14日、ソウル(聯合ニュース)
ソウル市内の病院で営まれた黄長ヨプ元朝鮮労働党書記の告別式=14日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル14日聯合ニュース】1997年に北朝鮮から韓国へ亡命し、今月10日にソウルの自宅で死亡した黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記の告別式が14日午前、ソウル峨山病院で営まれた。
 告別式には黄氏が亡命直後に養子縁組を結んだ養女をはじめ、名誉葬儀委員長を務めた金泳三(キム・ヨンサム)元大統領、統一部の玄仁沢(ヒョン・インテク)長官、与党・ハンナラ党の金武星(キム・ムソン)院内代表ら300人が参列し、故人を見送った。
 韓国国旗の太極旗にくるまれた黄氏の棺が葬儀場に入ると、参列者らは黙とうをささげた。朴寛用(パク・グァンヨウ)元国会議長は弔辞で、「『(権力の)3代世襲』で世界を愚弄(ぐろう)する許されない政権が生きているのに、先生をあの世に送らねばならず、実に心が痛む」と悼んだ。また、黄氏の韓国への亡命は、北朝鮮の独裁政権に最も強力な致命傷になったとし、北朝鮮の民主化が実現する日に、改めて黄氏を送りたいと述べた。
 野党・自由先進党の李会昌(イ・フェチャン)代表は追悼の辞で、「民族の大儀のため犠牲をいとわなかった大きな存在をなくし、悲痛な気持ちを抑えきれない。先生の存在自体が統一に向けた意志の象徴、希望であり、先生の勇気ある決断と教えはわれわれの胸に生きている」と冥福を祈った。
 告別式では黄氏の自作詩朗読、生前の姿や自筆の手紙、著作などを紹介する映像上映に続き、献花や焼香が行われた。葬儀場の外にも数十人の市民が集まり、哀悼の意を表した。
 黄氏は北朝鮮で故金日成(キム・イルソン)主席の思想を「主体思想」として集大成した人物として知られる。1972年から11年にわたり最高人民会議議長を務め、朝鮮労働党で中央委員や書記を歴任した。1997年に韓国に亡命して以降は、講演などで北朝鮮体制への批判を続けていた。だが、皮肉にも故金日成(キム・イルソン)主席、金正日(キム・ジョンイル)総書記、正恩(ジョンウン)氏と続く権力の3代世襲が全世界に公表された党創建記念日に、波乱万丈の生涯を終えた。
 黄氏の遺体は国立大田顕忠院に埋葬される。また、北朝鮮の人権改善に尽力したとして、黄氏には12日、民間人に与えられる最高級の勲章「国民勲章無窮花章」が授与された。

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