彼女の作風はある一つのスタイルで定義できないのが特徴だ。写真展では独学で学んだためか、既存の写真技術の枠にとらわれず、自由な技法と奇抜な着想でユニークな作品を次々と発表している。
12シリーズ・70点余りの作品のうち、最もを目を引くのは初期作で、代表作の「古着のポートレート」シリーズ。1993年に現代フランスを代表する美術家クリスチャン・ボルタンスキーの個展からアイデアを得たもので、当時、ボルタンスキーはインスタレーションとして使われた古着を観客に販売したが、オノデラはその一部を買い、再び自身の作品に使った。
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パリ・モンマルトルの作業室から見える空を背景に、少女の古着をカメラに収めた写真は、古着が空中に浮いているような感じを与え、超現実的な雰囲気が漂う。
人物の顔をぼやかして撮影したかのように見える「P.N.I」と名づけられた連作は、実は雑誌などから切り抜いた目や鼻、口の写真を粘土に貼り付け、ピントをずらして撮ったものだ。人が対象に集中していないことを表現している。
逆光を利用し、人物をシルエットで処理した「トランスベスト」シリーズも、同じ脈略から理解できる。一見すると人物写真のようだが、実は新聞や雑誌から切り抜いた人間の形状に街路灯や歴史的建築物の姿などの写真をモンタージュ方式で貼り付けた作品だ。
そのほか、静物写真のように見えるが実は鏡に映った風景を収めた「12Speed(スピード)」や、2つのレンズがある特殊カメラのステレオカメラでスウェーデンのバルト海の島にあるローマとスペインのローマを収めた「Roma-Roma」シリーズもまた才気あふれる着想に感嘆するに違いない。
写真展は12月4日まで。
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