【ソウル29日聯合ニュース】首相に内定していた前慶尚南道知事の金台鎬(キム・テホ)氏が29日、内定辞退を表明した。新首相指名を受けてから、わずか21日。「疎通と統合のアイコンとなる」と抱負を述べた金氏だが、国会人事聴聞会で浮き彫りになった各種疑惑と一転二転した発言内容から内定辞退の圧迫を受け、立ち上がることはできなかった。
 人事聴聞会開始前、野党は金氏の朴淵次(パク・ヨンチャ)前泰光実業会長(起訴済み)による不正資金供与関与疑惑などを提起していたが、金氏側は「聴聞会で明快に解明する」と強く述べ、積極的な攻勢で応じる姿勢を示していた。しかし聴聞会が始まると、金氏は窮地に追い込まれていった。結局、指名から21日で座を退いた短命首相という不名誉な名をいただくことになった。
 決定的だったのは、朴前会長とのつながりだ。金氏は24日の聴聞会で、2007年以前に朴前会長と面識はなかったと主張したが、翌日の聴聞会では民主党議員の執拗な追及に、「2006年秋にゴルフをしたことがある」と明らかにした。政治資金融資問題や複雑な財務関係などを明快に解明できず、否定的な世論が徐々に増えていくなか、こうした発言の食い違いが致命的な悪材料となった。さらに、聴聞会後の27日には、2006年2月に朴淵次前会長と並び撮影した写真も公開された。それまで内定辞退を要求してきた野党だけでなく、与党ハンナラ党内部にも、辞退は避けられないとの声が広がった。
 こうしたなか、青瓦台(大統領府)は辞退不可論を固辞し、金氏も「世論を見守る」と去就表明を留保した。しかし、30~31日に開かれるハンナラ党議員の研究会で、金氏の去就をめぐり衝突があるのではと予想されたことで、金氏は決断を迫られる。週末となり、与党中核からも、回復困難な痛手を負った金氏が自ら内定を辞退するほか代案はないとの言葉も漏れ聞こえるようになった。さらに、金氏擁立を誇示すれば、李明博(イ・ミョンバク)大統領の任期後半国政運営そのものが難しくなるとの指摘も上がった。金氏は決断を下すしかない状況となった。
 金氏は29日午前に開いた記者会見で、「大統領の国政運営にこれ以上迷惑はかけられない」と述べた。この発言も、そうした背景を説明するものだ。これといった打開策がないなかで、ただ攻撃に耐えようというのでは、傷は深まるばかりなだけに、内定辞退表明で傷を最小限にとどめ、後につなげようという考えだ。
 また会見で、「今後は李明博政権のの成功に向け、白衣従軍(罰を受け一兵卒として従軍する)の姿勢で最善を尽くしたい」と述べたのも、注目される部分だ。金氏側は、今後の計画はまだ何も決まっていないとしているが、政界内外では、名誉回復をかけ次の国会議員総選挙に出るとの説も浮上している。

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