【北京・長春・瀋陽29日聯合ニュース】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が乗っているとみられる専用特別列車が28日夜、中国・吉林省の長春を出発し、同省の延辺朝鮮族自治州に向かったと伝えられた。同自治州・延吉の情報筋が29日、「自治州政府が客を迎える準備を進めていると承知している。金総書記の可能性が高い」と明らかにした。
 ただ、28日午後9時15分(韓国時間午後10時15分)ごろ長春駅を出た特別列車が、現在どこに位置しているかは、まだ確認されていない。北京の外交筋は、ひとまず金総書記が26日早朝に訪中した際に通過したルート、鴨緑江中間地点の吉林省・集安、下流の遼寧省・丹東には特別な兆候はなく、特別列車は別の路線を利用しているようだと話した。延辺朝鮮族自治州の延吉または図們を通る路線の可能性が高いと伝えている。
 金総書記はこれまで、朝鮮族問題で中国を刺激することがないよう、延辺朝鮮族自治州を訪問したことはない。今回、延辺に姿を見せることがあれば、初めての訪問となる。
 延辺朝鮮族自治州は、中国が東北3省(遼寧省・吉林省・黒竜江省)の復興に向け進めている「長吉図(長春~吉林~豆満江)開発計画」で、長春市、吉林市とともに重要な軸を成す。延吉、図們、琿春などの都市が同自治州に属する。
 中国政府は、この「長吉図開発計画」の中核となる「東海出港権」を得るため北朝鮮を説得してきており、金総書記の同自治州訪問も、これと関連があるとみられる。北朝鮮は羅津港第1埠頭(ふとう)の使用権(10年)を中国に与えたが、中国側は使用期間の延長と別の埠頭使用権を求めているとされる。
 複数の北京外交筋は、金総書記の延辺朝鮮族自治州訪問は、中朝間で「長吉図開発計画」をはじめとする経済協力協議が大きく進展した証拠となると指摘。金総書記の延辺行きが確認されれば、北朝鮮が中国の羅津港埠頭使用を拡大し、期間延長措置を受け入れる可能性も排除できないとの見方を示した。
 延辺朝鮮族自治州政府は、数日前から金総書記の訪問に備え、準備を整えていたと伝えられた。金総書記は延吉市政府、中朝国境地域の図們、琿春を訪れると予想される。現時点で金総書記の同自治州訪問について伝えられた事実はないが、帰国は図們から特別列車で北朝鮮の温井里に向かうか、琿春から乗用車で羅津に向かう公算が大きいとみられる。
 金総書記は訪中初日の26日、吉林で父親の故金日成(キム・イルソン)主席の母校、毓文中学や抗日闘争の史跡である北山公園を訪問。2日目に長春に移動し、宿泊する南湖賓館で胡錦濤・中国国家主席と首脳会談をしたと伝えられた。3日目の28日には、長春市郊外にある国際農業・食品博覧会や吉林農業大学などを訪れた。

Copyright 2010(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0