グリア事務総長=(AFP=聯合ニュース)
グリア事務総長=(AFP=聯合ニュース)
【釜山4日聯合ニュース】経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は4日に行った聯合ニュースとのインタビューで、韓国の金利正常化を求めた。また、経済危機を受け、中小企業の構造調整加速化のために取られた支援策も段階的に解除すべきだと指摘した。
 11月にソウルで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)についても、成功に向け議長国の韓国をあらゆる面で支援すると強調した。
以下は一問一答。
――欧州財政危機に対する懸念が高まるなか、世界経済が一時的に回復した後、再び低迷するとの声があるが。
「欧州財政危機は世界経済の回復に大きなリスクになっている。各国政府と国際機関の素早い対応により金融市場の動揺は一部落ち着いたが、同地域の潜在的なぜい弱性は未解決のまま残っている。財政健全化プロセスに入り、さまざまな国が全力投球しているが、単にそのような発表だけでは市場の懸念を解消するには不十分で、根本的な構造調整が行われねばならない。
 今回の危機は、通貨同盟としてのユーロ圏の長期的生命力に対する懸念を払しょくするには、その制度と運営の構造を強化しなければならないことを示している。財政健全化に向け、一層果敢な措置が取られるべきだ。強力な監督、規則違反への効果的な制裁、国家予算に対する外部監査、実質的な財政同盟に至るまで、さまざまな措置が検討されるべきだ。
 OECD加盟国で成長が改善されているが、経済成長の速度はそれぞれ異なる。複数の要因を勘案すると、世界経済はことしと来年に約4.5%成長すると予想される。OECD加盟国の成長は毎年2.75%程度だろうが、これは地域の失業問題を解消するにはあまりにも弱い。
 国家債務問題の不安定性や新興市場国の資本流出入速度・規模の問題などで、世界経済回復のリスクが大きい。こうした問題は拡張的財政・通貨政策の正常化と持続可能な均衡成長に向けた政策の必要性を呼び起こす。大規模財政赤字解消に向けた措置と雇用に及ぼす景気低迷の長期的影響を解消するための政策も必要だ」
――G20主要案件として、経済危機の費用負担問題と銀行税がある。4月にワシントンで行われた前会議では追加の銀行規制措置をめぐり、当事国の立場の差が大きく、合意を見い出せなかった。銀行税などの金融分担案についてどう考えるか。
「銀行の規模とレバレッジ比率により、外部不経済に課税しようとする協議だ。どのような案が出ても、それが国内外金融圏規制改革の代替として受け止められてはならない。しかし、どのような形の税金が課税されるかという問題は非常に重要だ。金融市場取引税は望ましくない。国際的合意の必要性や財政取引規制協議などを考慮すると、課税は非常に難しいはずだ。その上、取引税は市場の流動性を減少させ、より大きな変動性をもたらす可能性がある。フランスと英国の金融圏ボーナスに対する課税など、ほかの措置もすでに導入されている」
――韓国経済が予想より早く回復している。韓国経済と韓国の出口戦略に対する評価は。
「韓国は中国の需要やウォン安などを追い風に、OECD加盟国で最も早い速度で、グローバル低迷から抜け出している。輸出規模は2008年の世界12位から昨年には9位に浮上し、適切な時期に大規模景気てこ入れ策を施行し、雇用伸長にも寄与した。
 ウォン安に伴う競争力伸長は昨年にやや減速したものの、経済成長はことし5.8%、来年には4.7%水準を維持し、企業投資と失業率も危機以前水準に回復するはずだ。こうなれば、賃金が早く上昇し、インフレ圧力も増すだろう。
 こうした見通しにはリスクもある。世界貿易が予想と異なり、ことしと来年に大々的に拡張しなければ、韓国の成長も影響を受ける。ウォンの変動幅が大きければ、純輸出にも影響があるはずだ。
 企業構造調整の時期・速度に対する不確実性も存在する。負債が多い家計は所得増加分を消費より負債返済に使い、経済回復速度が遅くなる可能性がある。また、北朝鮮との緊張拡大も懸念される。
 韓国の早い回復を勘案すると、出口戦略はすでにスタートした。政府支出はことし4%減少する見通しだ。危機直後に投入された一部の追加流動性は回収されたが、政策金利では異例的な緩和基調が続いている。目標範囲内で物価上昇率とインフレ期待心理を維持するためには、金利を正常化することが重要だ。
 中小企業に提供された支援強化策を解除することも重要だ。政府がそうした措置を縮小し始めたが、迅速に進めたほうがいい。中小企業構造調整の加速化に向け、融資保証の拡大、債務返済延期などの措置を段階的になくすことが重要だ。生存力のない企業への支援は、成長潜在力の足を引っ張ることになる」
――世界経済危機を克服しようとする韓国政府の努力と財政健全性に対する評価は。
「効果的な通貨・財政浮揚策は韓国の強くて迅速な経済回復に重要な役割を果たした。通貨政策の緩和やOECDで最大水準の景気浮揚策など、世界経済危機に対する韓国政府の対応は適切だった。
 韓国の政府債務は昨年の景気浮揚策で35%水準まで増えたが、ことしOECD平均予想値の95%よりはるかに低い水準だ。韓国はほかのOECD加盟国に比べ、強力な財政状態を維持しており、ことしの政府支出減少により財政健全性は一層強化されるだろう。政府支出拡大率を年4%に制限した2009~2013中期財政運用計画の目標を達成すれば、韓国は財政収支赤字を昨年の対GDP比4%水準から2013年には0.5%水準に減らし、公共債務もGDPの40%以内に維持するとみられる。韓国の急速な高齢化を勘案すると、こうした計画を貫き、健全財政を維持することが重要だ」
――OECD加盟国の間で韓国のポジションはどの程度か。G20金融サミット議長国の韓国に期待する役割は。
「韓国はOECDで積極的に重要な役割を務めてきた。韓国の存在感はほかの加盟国にも知られており、当面の問題を解決するため韓国の経験から教訓を得ようとしている。韓国の発展経験とアジア金融危機からの迅速な回復は皆に刺激を与える。韓国も同じく、独自の改革ロードマップをつくり発展させる上でOECDの分析や指標、政策指針などが役立った。
 ことし韓国はG20金融サミットの議長国として非常に重要な役割をするだろう。G20プロセスは重大な岐路に立たされている。G20は約束を履行し、自らの存在価値を危機時だけではなく、回復局面とそれ以降にも証明しなければならない。特に、G20は出口戦略の施行と強力かつ長期的な経済回復という2つの懸案に同時に向き合うべきだ。
 韓国のリーダーシップで、ソウルでのG20金融サミットが成功すると信じている。韓国のG20金融サミット準備委員会は各分野最高の人材を集め、強力なチームを立ち上げた。OECDは、議長国の韓国を可能な限りあらゆる面で支援する」



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