【ソウル25日聯合ニュース】韓国政府は、北朝鮮による明らかな軍事挑発で韓国軍兵士46人が戦死するという朝鮮戦争以来初めての事態をを迎え、北朝鮮を主敵とする概念の復活を決定した。北朝鮮の軍事的侵犯には即刻自衛権を発動するなどの「積極的抑止」原則を導入しただけに、国家安保を脅かす第一敵対勢力の北朝鮮を、現在のように何の概念も定めず放置することは現実にそぐわないと判断したものだ。
 朝鮮戦争は終戦ではなく休戦状態にあり、陸・海・空軍ともに北朝鮮の南侵と局地挑発を警戒している。そうした状況で北朝鮮を「主敵」とできなくては、現実に矛盾しているという認識も作用した。
 また、海軍哨戒艦「天安」沈没事件後に指摘されてきた、韓国軍安保態勢と国民の安保意識の緩みも、概念復活の名分となった。
 李明博(イ・ミョンバク)大統領も、4日に全軍主要指揮官会議を主宰した席で、「内部の安保体制と安保意識が揺るんできた。安保対象を明確にさせなかった外部環境があり、それによる軍の混乱もあったはず」と指摘し、主敵概念復活の検討を示唆していた。
 北朝鮮を主敵とする概念の復活は、李大統領が24日に国民向け談話で強調した、対北朝鮮基調の「パラダイムシフト」(認識の転換)とも関係がある。
 李大統領は談話で、朝鮮半島情勢は重大な転換点を迎えていると述べ、対北朝鮮政策基調を歴史的に転換するという考えを示した。過去10年間の政権で「太陽政策」に象徴された北朝鮮に対する包容政策が、大きく変化することを予告したものだ。これを受け、軍作戦面での対北朝鮮認識転換が、自然に主敵概念の復活を伴うことになったと分析される。
 青瓦台(大統領府)中核関係者は、「パラダイムシフト」と関連し、主敵概念の混乱や最小限の相互主義の原則さえ守られていない支援形態など、すべてを包括できると語った。
 北朝鮮主敵概念の復活は、同概念が廃止された2004年から6年間、安保論争の中心にあった。1994年の第8回南北実務接触で北朝鮮側が「ソウルは火の海になる」と発言したことを受け、1995年の国防白書で初めて用いられた北朝鮮主敵概念は、2004年の国防白書からは「直接的軍事脅威」「現存する北朝鮮の軍事的脅威」などに置き換えられ、現時に至る。
 ただ、前政権では、当時野党だったハンナラ党が主敵概念復活の要求を続け、与野党間で激しい攻防があった。ハンナラ党が与党となってからも、与党・軍内部と野党側で、概念復活をめぐる論争が続いた。



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