【ソウル24日聯合ニュース】韓国政府が、韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事故を起こした北朝鮮に断固対応するとの構想を実体として明らかにした。軍事・外交・南北関係を網羅し想定可能な超強硬オプションをフル稼働することで、北朝鮮に「相応の代価」を負わせるというのが、大枠の概念だ。
 これは、「天安」事件に対する一時的、断面的な対応という次元を超え、韓国政府の対北朝鮮対応基調に関する「パラダイム・シフト」となる。北朝鮮に対し、完全に新しい対応基調とアプローチ方法を打ち立てるという政府の厳しい状況認識を示しているといえる。
 政府高官は24日、「事件を機に、朝鮮半島は変わらなければならないというのが、李明博(イ・ミョンバク)大統領の認識」だと明らかにした。朝鮮半島情勢は重要な転換点を迎えていると強調した。
 政府の対応措置は大きく、軍事・外交・南北関係に集約される。韓国安保の根幹である韓米同盟と連合防衛態勢を背景に、国際社会の支持を得ながら、北朝鮮に実質的な苦痛を与えることのできる対応策が網羅されている。
 軍事的対応オプションは、北朝鮮に有形・無形の脅威と圧迫を加える措置だ。当座の直接的軍事対応ではないが、韓米連合の対潜水艦訓練実施、韓国の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)積極参加、さらに済州海峡の封鎖、対北朝鮮心理戦の再開などで、北朝鮮に相当の苦痛を与えられる可能性は高いと見込まれる。
 こうした軍事的対応オプションが目指すものは、対北朝鮮抑止だ。北朝鮮が韓国に対しさらなる挑発行為に出ようという考えそのものをくじくだけの防衛態勢を固めるという意味。李大統領が、24日に発表した国民向け談話で「北朝鮮が韓国の領海・領空・領土を侵犯した場合は、即座に自衛権を発動する」「韓国は北朝鮮のいかなる挑発も許さず、積極的な抑制(抑止)原則を堅持する」と述べたのも、こうした脈絡からだ。
 南北関係関連のオプションは、北朝鮮に即座に打撃を与えることができる。慢性的な物資不足とインフレに苦しむ北朝鮮としては、韓国との貿易が中断されれば、経済に深刻な打撃を受ける。命綱を断ち切る効果が予想される。ただ政府は、人道的支援と開城工業団地事業は例外としている。
 外交的対応オプションは、短期的に対北朝鮮制裁の効果を感じることは難しいが、根源的に北朝鮮の活路を制約することができる。現行の対北朝鮮制裁または新たな制裁に対し、国際社会一致の決議を引き出すことで、北朝鮮を四面楚歌(そか)に追い込む公算は高い。
 政府はまず、国際安保の舞台となる国連安全保障理事会に「天安」事件を持ち込む構えだ。関連諸国との調整を経て、新制裁を盛り込むか従来のものを強化した、新たな対北朝鮮決議案の採択を進めるものと予想される。主要関連国による独自の対北朝鮮制裁も相次いでおり、相乗効果も期待される。
 こうした政府の対応措置が完全に稼動すれば、北朝鮮に耐え難い苦痛を与えることができると見込まれる。ただ、北朝鮮と友好関係を結ぶ中国の協力が得られるかは未知数で、制裁の効果を確実に語ることは難しいとも指摘される。
 また、北朝鮮のさらなる挑発行為の可能性で、朝鮮半島情勢の不可測性、流動性が高まるがい然性もある。韓国政府の制裁の動きを口実に、北朝鮮がまた強力な挑発に出ることがあれば、南北間の危機が高まり、朝鮮半島情勢の行方をさらに複雑なものにすることもあり得る。
 韓国政府の「断固たる対応」措置の成功には、国際社会の共助枠がどれだけ堅固に維持されるかが、最大のカギとなる。



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