【ソウル20日聯合ニュース】朝鮮半島情勢が予測不能の事態に陥っている。
 北朝鮮の武力挑発を公式に確認した20日の海軍哨戒艦「天安」沈没事件の調査結果発表が、その引き金となった。これまで情勢の流れをけん引してきた6カ国協議の再開問題と、南北関係転換の流れが全面的にストップされ、事件への対応をめぐる外交戦が朝鮮半島を揺さぶっている。
 朝鮮半島の外交安保構図が新たに構築する必要に迫られるほど、今回の調査結果がもたらした影響は大きいといえる。北朝鮮の挑発自制と融和姿勢を前提に模索されてきた「対話と交渉」プロセスの流れが、再び「対立と圧迫」の構図に戻りつつある状況だ。
 北朝鮮の核問題を解決するための6カ国協議は、再開の可能性が急速に薄まっている。金正日(キム・ジョンイル)総書記の訪中以降、6カ国協議議長国の中国は協議再開のプロセスに向け動きを見せているが、今回の調査発表で流れに乗るのは難しい。
 特に、沈没事件の決着をつけた後に6カ国協議を再開するという韓日米の共助がさらに堅固になっており、6カ国協議の再開問題は「事後課題」になりつつある。
 6カ国協議再開の流れと連携してきた南北関係も、急速に冷え込んでいる。北朝鮮が金剛山内の韓国側資産を凍結・没収し、南北の交流・協力が危機に直面した状況で、「天安」調査の影響は南北関係を全面中断状態に追い込む可能性が高い。
 政府は「天安」事件の対応措置として、北朝鮮貿易・賃加工縮小、北朝鮮船舶の韓国海域通航禁止、対北朝鮮宣伝戦再開、政府官庁の対北朝鮮事業保留などの「対北朝鮮カード」を切る姿勢を固めつつある。事実上、開城工業団地事業を除き、南北交流と経済協力はすべて中断されたといっても過言ではない。
 こうした流れのなかで、韓国政府が主導している国連安全保障理事会への問題提起と、今後の対応方向をめぐる周辺国の外交政策がどのように展開されるかが、朝鮮半島情勢を大きく左右する見通しだ。
 まず、中国の態度が注目される。安保理常任理事国で、北朝鮮とは「友好関係」を結んでいる中国が、韓国政府の安保理対応の動きに消極的な態度を貫き、「天安」対応をめぐり関連国と摩擦を引き起こす可能性がある。
 いわゆる「韓・米・日」対「中・朝」の対立構図だ。冷戦時代のような米中間の葛藤(かっとう)構図が再燃する場合、国連安保理で両国の外交的対立が深まる可能性があり、これは6カ国協議と南北関係を相当期間冷え込ませると懸念される。
 もちろん、中国の最終立場の方向は未知数だ。今回の調査結果で北朝鮮の犯行であることを裏付ける「決定的証拠」が出たことにより、国際社会では対北朝鮮強硬気流が造成されるムードのため、国連安保理で立場を翻す可能性があるとの分析も出ている。
 これは6カ国協議と南北関係に「両刃の剣」として作用する公算が大きい。孤立している北朝鮮が6カ国協議プロセスへの復帰で突破口を見出す可能性と、逆に強力な挑発を強行する可能性が共存する。
 特に、北朝鮮が再度挑発に乗り出した場合、これは今後の流れを決定付けるものとなり得る。
 北朝鮮は韓国をはじめ国際社会の対応措置に対抗し、北朝鮮領空の通過不許可、弾道ミサイル発射実験などの措置を取る公算が大きく、場合によっては3回目の核実験を実施するとの観測も出ている。
 米国と中国間の戦略的利害調整もポイントのひとつだ。現時点では「天安」事件をめぐり両国が対立しているが、一定期間が経過し、両国の利害が接点を見出せば、6カ国協議が再開プロセスに向け再び動き出すことで、「出口」を模索する可能性が十分にあるためだ。
 朝鮮半島情勢は、「天安」外交の行方や北朝鮮による挑発の可能性、米・中間の戦略的利害が複雑に絡み合い、まったく先を読めない状態に差し掛かっている。



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