【北京7日聯合ニュース】北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が3日から中国を訪問した。この5度目の訪中で、少なくない成果を上げたと評価される。
 まずその成果として、自身の姿が外部にさらされることをいとわず行動することで「健在」ぶりを誇示し、国際社会の視線を集めたことが挙げられる。脳卒中の後遺症とみられる不自然な歩き方が見受けられたものの、3日から5日にかけ、中国内だけで1200キロメートルの距離を移動した。北朝鮮・平壌から中国・丹東までの移動距離を合わせると、4日間で1400キロメートル以上を移動したことになる。5日の胡錦濤国家主席との首脳会談と夕食会は、5時間におよんだ。
 金総書記のこうした動きに対し、一部では健康異常説を打ち消す狙いとの見方が出ている。大連に滞在中は、宿泊するホテル随時出入りする姿が公開されており、メディアに「故意に」姿を見せたとの観測を生んだ。
 警護問題にも、思い切った変化があった。これまでの訪中では、警護を理由に短い距離の移動でも特別列車を利用したが、今回は丹東~大連、天津~北京区間を乗用車で移動した。また、特別列車での移動時は、前後に別の列車を運行させたが、今回はそうしたものはなかった。これについて、「中国当局は自国の警護に対する金総書記の信頼と認識している」と伝えられる。
 今回の訪中で中朝間の友好関係が再び国際社会に誇示されたことも、成果と言える。金総書記の訪中3日前に行われた韓中首脳会談でも、中国側は金総書記の訪中予定を明らかにせず、韓国政府の反発受けながらも北朝鮮に対する義理を守った。首脳同士の会合が5時間という長時間におよんだことも、両国関係が格別であることを示したとの指摘だ。
 何より大きな成果は、金総書記の訪中で,韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事故という危機から脱出する突破口を見出したことだと言える。事故原因の調査結果はまだ出ていないが、北朝鮮の介入説が強く浮上するなか、釈明の機会を得たことになる。
 「天安」沈没事故と関連し中朝間でどのような話が交わされたのかは不明だが、中国の天びんは北朝鮮側に傾いている雰囲気が感じられる。中国外務省の姜瑜報道官は6日の定例会見で、沈没事故に北朝鮮が介入した可能性が大きいという各国の報道について、「メディアの推測」だと指摘した。
 金総書記の訪中を終え、中国側はまだ立場を表明していないが、中朝がどのような意見交換を行ったかにより、今後の北東アジア情勢にも少なくない影響があるとみられる。
 中朝首脳会談の内容がまだ明らかになっていないため、その意味の把握は不可能な状況だが、北京の複数外交筋は、朝鮮半島の非核化と6カ国協議、「天安」沈没事故、中朝間経済協力問題が協議されたとみている。
 最も大きな関心は、6カ国協議関連の金総書記の立場だ。一部では、北朝鮮は金総書記の訪中日程中に6カ国協議復帰の意向を示し議長国中国の面目を保つとともに、国際政治舞台における中国の地位と役割を向上させ、中国はその見返りとして北朝鮮に経済協力と援助を約束したと推測している。また、金総書記は日程のほとんどを経済視察に集中しており、中朝間で多くの経済協力協議があったと推定することが可能だ。
 ただ、金総書記が胡主席とともに、歌劇「紅楼夢」を観覧しなかったのは予想外だ。中朝首脳の歌劇観覧は、対内外に友好を誇示するイベントだ。これについて、ある北朝鮮問題専門家は「中朝間で何か話がうまくいかなかったとの推測もできる」と話している。

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