ヘッカー博士が物理学会ホームページに掲載した発表要旨によると、2004年1月に訪朝した当時、寧辺の再処理施設で、北朝鮮の技術者が「わたしたちは核抑止力を確保している」と主張してきた。ヘッカー博士が疑わしげな表情をすると、技術者らは「わたしたちが生産したものを見てみるか」と尋ね、「プルトニウムのことか」と関心を示すと、そうだと答えながら、ジャムの容器のような瓶に入ったプルトニウムのサンプルを見せたという。
2人の技術者が持ってきたのは小さな赤い金属の箱で、中にはさらに木箱があり、そこに2つのガラス瓶が入っていた。一方にはプルトニウムのかけら、もう一方には粉末状になったプルトニウムが保管されていた。ヘッカー博士は、技術者らの許可を得てプルトニウム200グラムが入った容器を手にしたところ放射線による温気が感じられたことなどから、本物のプルトニウムと判断した。
北朝鮮が自身にプルトニウムのサンプルを見せた理由については、「どれだけ深刻に核兵器を開発しているか、米国に伝えさせるため」だろうと分析した。
ヘッカー博士は先月発表した論文「北朝鮮核兵器から学ぶ教訓」のなかで、過去2回の核実験の結果から、北朝鮮は日本の長崎に投下された原子力爆弾級の威力を持つ単純なプルトニウム弾を製造する能力があると主張。現在、そうした初歩的な核兵器を4~8個ほど保有している可能性が極めて高いと述べている。
また、北朝鮮が長距離の核ミサイルや核弾頭を開発するまでの道のりはまだ遠いとの見方を示す一方で、ミサイル「ノドン」のような中距離ミサイルに核兵器を実践配置するにはさほど時間はかからないだろうとしている。その上で、それにはおそらく3回目の核実験が必要になるとの見解を示した。
北朝鮮のウラン濃縮能力については、数十年間にわたる濃縮実験にも産業的規模で開発することはできなかったと今も信じている、と述べた。
ヘッカー教授は、2004年を含めこれまでに6回訪朝している。
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